セレンディピティに気づく人と気づかない人の差 やたら計画を立てたがる人が好機を逃し易い訳
本書のテーマは、偶然と人間の志や想像力の相互作用、すなわち「セレンディピティ」だ。セレンディピティを定義すると「予想外の事態での積極的な判断がもたらした、思いがけない幸運な結果」となる。
セレンディピティは世界を動かす隠れた力であり、日々のささやかな出来事から人生を変えるような事件、さらには世界を変えるような画期的発明の背後につねに潜んでいる。
しかし本書に登場する人々のように、この隠れた力の謎を解き、予想外を成功やプラスの力に転換するためのマインドセット(心構え)を身につけている人はごくわずかだ。
セレンディピティが単に私たちの身にふりかかる偶然ではなく、実は点と点を見つけ、つないでいくプロセスだと理解すると、他の人には越えがたい断絶しか見えないところに橋が見えてくる。するとセレンディピティが身のまわりで次々と起こるようになる。
この変化が起こると、予想外はもはや脅威ではなくなる。喜び、驚き、生きる意味の源泉となり、成功し続ける原動力となる。爬虫類脳のもたらす闘争・逃走反応で動いてきた世界は、今や恐怖を煽るポピュリズムや不確実性に支配されている。これまで慣れ親しんできたマインドセットや常識を当てはめようとしてもうまくいかない。
「セレンディピティ・マインドセット」とセレンディピティに適した状況を生み出す能力は、私たちや子供世代、そしてさまざまな組織にとって欠かせないライフスキルとなった。
人類にとって必要な進化
想像してみてほしい。恐怖や欠乏や嫉妬ではなく、好奇心、機会、連帯感に満ちた世界を。気候変動や社会格差といった途方もない課題に、私たちが大胆かつ実効性のある解決策で立ち向かう姿を。
変化の激しいこの時代に生まれる新たな問題の多くはあまりに複雑で、未来は予想外に左右される部分が大きくなる。
つまりセレンディピティ・マインドセットを身につけることは、個人にとって胸躍る対象を見つけ、生きがいを感じる契機となるだけでなく、人類にとって必要な進化なのだ。
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