セレンディピティに気づく人と気づかない人の差 やたら計画を立てたがる人が好機を逃し易い訳

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数百本の学術論文、世界各地の多様な人々との200件以上のインタビューや会話ももとにしている。さまざまな職業や社会的地位にある人々から直接聞いた魅力的な体験談も盛り込んでいる。

たとえば薬物依存症から立ち直り、今は南アフリカのケープタウンの貧困地域ケープフラッツで教師となっている人もいれば、ニューヨークの映画監督、ケニアの起業家、ロンドンのウェーター、ヒューストンの学生、さらには輝かしい成功を収めた世界的経営者もいる。

1人ひとりが予想外の事態を受け入れ、活かしていった状況は異なるが、これから見ていくとおりそこには非常に似通ったパターンがある。

誰よりも成功し、誰よりも幸せそうな人をインタビューすると、その多くは本能的に「セレンディピティ・フィールド」とでもいうべきフォースフィールド(力場)を生み出していた。

彼らが人生において、同じような条件でスタートした人々より好ましい成果を手に入れている原因はそこにあるようだった。

予測できない世界で幸せになる方法

今、私が何より幸せを感じるのは、2つのアイデアあるいは2つの人格が思いがけず出会ったときに飛び散る火花、つまりセレンディピティの喜びを目の当たりにしたときだ。

セレンディピティは私たちが内に秘めた本当の可能性を解き放つ手段であり、さまざまなペルソナ(人格)を獲得してさまざまな人生を歩むことのできるこの世界で、自分に何ができるか探究する手段でもある。

あらゆる人が「最高の自分」を見つけられるようにすること──。それがセレンディピティを生み出す最大の目的だ。

本書の目的は「予想外」に対してオープンな姿勢を身につけることだ。予想外への備えをして、先入観を排除すれば、(幸運か悪運かにかかわらず)運に振り回されなくなる。運は育み、方向性を与え、人生のツールとして活用できるものだ。

クリスチャン・ブッシュ サンドボックス・ネットワーク共同創設者

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Christian Busch

ニューヨーク大学(NYU)とロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)で、パーパス・ドリブン・リーダーシップ、イノベーション、アントレプレナーシップを教える。LSEでイノベーション・アンド・コクリエーション・ラボの共同ディレクターとコースリーダーを務めたのち、NYUではセンター・フォー・グローバル・アフェアーズ(CGA)のグローバル・エコノミー・プログラムのディレクターを務める。LSEにて博士号(Ph.D.)取得。20カ国以上で活動する若手イノベーターのコミュニティであるサンドボックス・ネットワーク、強い影響力を持つリーダーの集まりであるリーダーズ・オン・パーパスの共同創設者。

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