相場はついに終焉?「運命の1週間」がやってきた 今年は始まったばかり、「間違い」は長続きせず

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しかし、一方では明るい材料もある。原油価格だ。国際エネルギー機関(IEA)が19日の月報で「石油の供給が近く需要を上回る」との見通しを示し、21日のニューヨーク原油先物市場でアメリカの原油在庫も増加に転じたことで、先物価格は落ち着いた動きとなっている。

インフレをコントロールする際には「緩和縮小(テーパリング)」「利上げ」「量的引き締め(中央銀行の資産圧縮)」という順で進むのが金融政策の王道のはずだ。だが、FRB(連邦準備制度理事会)は株式市場の下落を無視して、テーパリングの繰り上げや利上げ幅の強化など、できるのだろうか。

日銀の異次元緩和は「不変」

一方の日本銀行はどうか。マネタリーベース(日銀が直接的に供給するお金)は、2021年12月の平均残高で前年比8.3%増の657兆831億円と、高水準を維持している。金融機関向けの大規模な「コロナオペ」が導入された2020年の反動で、伸び率は2020年6月以来の低水準となっているものの、結局12月末の残高を見ると、670兆0674億円と過去最高を更新している。

また、市中に出回っている資金量であるマネーストック(M3)も、同12月の月中平均残高は前年同月比3.4%増の1531兆5000億円と、過去最高を更新した。このように、異次元緩和状態は変わっていない。

ただ最近では、マネタリーベースこそ月末残高は過去最高を記録しているものの、月中平残を見ると2021年10月が660兆円、11月が659兆円、12月が657兆円となっていることから、「日銀の資金供給量がこのまま減っていくのではないか」とみる向きもある。

減っていくとしても前年同月比で見てマイナスになるようなことは当分ないと推察しているが、今年4月以降には「ついにそのときが来る」とみる向きがある。前年同月比でマイナスになったことは、黒田東彦総裁が就任して「異次元緩和」を始めた2013年4月以降はない。よって、もしそうなれば、明らかな政策変更と認識される。

そんな中で開かれた今回の日銀金融政策決定会合は、数々の不安を打ち消すものだった。とくに会合後の黒田総裁の会見は圧巻で、総裁は「利上げをはじめ、現在の大規模な金融緩和を変更することはまったく考えておらず、そうした議論もしていない」として、ちまたに流れている数々の「可能性」についても明確に否定した。

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