相場はついに終焉?「運命の1週間」がやってきた 今年は始まったばかり、「間違い」は長続きせず

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しかし現在の東京市場は、この黒田総裁の配慮をあざ笑うかのように、アメリカ株追随の下落相場となっている。緩和縮小→利上げへと進むFRBに対して警戒するのは当然だが、大規模金融緩和継続の日銀をまったく無視して売られている日本株は間違っているのではないか。相場はよく間違えるものだが、一方で長期間にわたって間違いが続くこともない。

高い変動率を利用する「賢い投資家」に

とにかく下がったところは買いを考え、上がったところは売りを考えることが、今年のボラティリティの高い相場での勝ち方だ。2022年相場は始まったばかり。今週も非常に重要な週になることは間違いない。

さて、最後に今週の主なイベントをまとめておこう。まず24日に早速、仏・独・ユーロ圏・アメリカの1月のPMI(購買担当者景気指数)が出る。英国も日本も同日の予定だ。月末の30日には中国のPMIが控えており、今週はさながら「PMI週間」といえる。市場はコロナの影響が出るPMIの方向性に注目しており、「コロナ後の姿」が見える、本年第1弾の指標となりそうだ。

次に25~26日は、最大の注目材料といっていいFOMC(連邦公開市場委員会)がある。結果発表は日本時間27日午前4時だ。テーパリング終了から利上げへと進む議論の中で、利上げの速度はどうなるのか。今後の市場心理が「強気」「弱気」のどちらに傾くか、決定打となりそうだ。

さらに、今週は日米とも決算の週だ。挙げればキリがないが、24日にはIBM、25日にはジョンソン&ジョンソンやマイクロソフトなどの発表がある。26日はいよいよ日本でも日本電産(6594)やファナック(6954)が登場。アメリカでもAT&T、ボーイング、インテル、テスラなどが決算を迎える。

27日には信越化学工業(4063)、富士通(6702)、アドバンテスト(6857)、アメリカではマクドナルドやアップルなど。さらに28日にはオリエンタルランド(4661)、アメリカではキャタピラー、シェブロンなどだ。

息もつかせない1週間。繰り返すが、上げ下げに巻き込まれず、それを利用する賢い投資家を目指そう。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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