「ゴヤの名画と優しい泥棒」に学ぶ矜持とユーモア 英国のウェリントン公爵肖像画盗難事件を映画化
ロンドンの中心部に位置するトラファルガー広場。この広場に面し、「美の殿堂」といわれるロンドン・ナショナル・ギャラリー(国立美術館)で、1961年、ゴヤの絵画の盗難事件が起きた。犯人は年金暮らしのタクシー運転手。正義感の強い彼は、孤独な高齢者の生活を助けるために、その絵画の身代金として、公共放送BBCの受信料を無料にせよと要求する。しかし、実はその事件の裏にはとある真相が秘められていた――。
2月25日よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開予定の映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』は、200年近い美術館の歴史の中で唯一にして最大の事件 「ウェリントン公爵の肖像画盗難事件」に隠された実話を、ユーモアを交えて描き出した感動のドラマ。
主演のケンプトンを演じるのは、『アイリス』でアカデミー賞助演男優賞を獲得したジム・ブロードベント。仕事はすぐにクビになるようなトラブルメーカーでありながらも正義感に満ちあふれて、どこか憎めないチャーミングな男性を魅力的に演じている。その妻ドロシーを演じるのは『クイーン』でアカデミー賞主演女優賞を獲得したヘレン・ミレン。脚本を読んで「恋に落ちた」という彼女は、時に暴走してしまいがちな夫の行動にやきもきしながらも、そんな彼を大きな愛で包み込む妻を好演している。
絵画展示すぐに盗み出される
物語の舞台となるのは1960年代のイギリスの北東部の工業都市・ニューカッスル。第2次世界大戦以降、主幹産業だった鉄鋼・造船業が衰退し、失業や人口減少など、深刻な不況に陥っていた。そんな中、ロンドン・ナショナル・ギャラリーが、イギリス政府から一部支援を受け、ゴヤが描いた肖像画「ウェリントン公爵」を14万ポンド(約2100万円)で落札する。
この絵画のモチーフとなったウェリントン公爵は、1815年のワーテルローの戦いでナポレオンを打ち破った国家的英雄。そんな話題性もあり、この絵画は鳴り物入りでロンドン・ナショナル・ギャラリーに展示されることとなった。
だが、その絵画は展示から19日後にあっさりと盗み出されてしまう。その巧妙な手口から、プロの窃盗団によるものではないかと世間は大騒ぎとなった。
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