【産業天気図・建設機械】新興国インフラ需要に牽引され、業界景況感は後半「晴れ」へ改善
10年10月~11年3月 | 11年4月~9月 |
建設機械の世界需要は、2010年10月~11年3月にかけて回復傾向が続くが、円高や製品構成により各社の収益が大きくバラつく「曇り」の状態。ただ、世界需要の回復に腰折れがなければ、11年4月~9月にかけては各社とも総じて「晴れ」となるだろう。
国内建機大手の日立建機によると、主力メーカーの中核機である油圧ショベルの今期世界需要は当初、17万5000台と前年比16%の回復を見込んでいた。ところが、同社は7月に入ってこの見通しを修正、前年比21%増の18万4000台に引き上げた。これはリーマンショック直前の22万台には及ばないものの、この10年では2番目に多い水準だ。
世界需要が急回復しているのは、いうまでもインフラ整備に突進する新興国の需要を取り込んでいるためだ。いまや全体市場の半分以上を占める中国が引き続き3割近く伸びるほか、オーストラリアやインドネシアなどのアジア・オセアニアの資源国や、ブラジルなど中南米の資源国も続伸する。また、米国や欧州でも急激な在庫調整を終えて、流通在庫を積み増す動きがでている。
だが、こうした旺盛な需要をすべての建機メーカーが同じように享受しているわけではない。
世界需要のトレンドとほぼ同期しているのは業界首位のコマツだ。同社は最大市場の中国でトップシェアを誇るうえ、新興資源国はじめ全世界で営業体制の構築をほぼ済ませている。生産に関してもコア部品は日本で生産集中し、組み立ては需要先近くの拠点でグローバルに生産する体制を確立。世界の成長を漏らさず吸収できる仕組みがほぼできあがっている。