会議中、相手に「手書きメモ」をあえて見せる理由 →や<>などを使って視覚に訴えるとより効果的

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会議中にあえて手書きのメモを見せたほうがいい、意外な理由とは?(写真:Fast&Slow/PIXTA)
よい解決策を提案したのに、相手がなかなか動いてくれない。そんな経験がある人も多いでしょう。人を動かす場面において、「これをやるべき」「これをやってほしい」というメッセージは1日中飛び交っています。しかし、多くの人が相手に動いてもらえずに悩んでいるのも、また事実です。
「会話のなかで合意を取りつけたように思っていても、それが心からの『気持ちのよい合意』でなければ、必ずなんらかの反作用が返ってくる」と高橋浩一氏は言います。人間関係がぎくしゃくたり相手が不満を持ったりすることなく、相手に気持ちよく動いてもらうには、どうしたらいいのか。高橋氏の著書『気持ちよく人を動かす』から紹介します。

相手から「もう少しよく考えたい」と言われるのは、相手にとって状況がまだクリアになっていない証拠です。私はこれを「情報整理の壁」と呼んでいます。情報整理の壁が立ちはだかっているときは、「見える化する力」が役立ちます。

「もう少しよく考えたい」という保留に対して、相手が持ち帰って検討するのを待っていては動きが止まってしまうので、相手と一緒にいるあいだに「ここまでを整理すると……」と言って、メモのかたちでまとめてしまいましょう。そのメモを相手と確認すれば、場を前進させられます。なぜ自分が書いたメモを相手に見せるかというと、相手から聞いた情報について単に「おっしゃることはわかります」と言うより、見せたほうが効果的だからです。

人は多くの情報を視覚から得ている

「メラビアンの法則」によれば、人が影響を受けるのは、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%で、最もインパクトが大きいのは視覚情報です。「ここまでうかがった内容を簡単に整理してみたのですが……」とメモを見せるのは、相手に「なるほど、こういうことなのか!」という新しい発見をもたらすこともありますし、「こんなにしっかり聞いてくれていたんだ!」という喜びの感情を生むこともあります。

「書いたメモを相手に見せましょう」とお伝えすると、「きれいに整理できていないメモを見せるのは抵抗がある」と言われることがあります。たしかに、人の話をリアルタイムで整理することは難しいですし、その整理が的を射たものであるかどうかは、慣れないとなかなか自信が持てないものです。

私も、新卒で入ったコンサルティング会社では、ホワイトボードで参加者の発言をきれいにまとめる先輩たちを見て、「とてもこんなふうにはできない」と思いました。そんな私の認識が変わったきっかけは、商談中に私が書き留めた、決してきれいではない文字の這うノートに、お客様が「それを写真に撮らせてもらえませんか」と声をかけてくれたことです。

次ページ「メモを写真に撮らせて」がきっかけ
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