会議中、相手に「手書きメモ」をあえて見せる理由 →や<>などを使って視覚に訴えるとより効果的

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3つめは「なぜそう言えるのか根拠が明確である」ことです。ピラミッド構造で情報が整理されているときは、上から下に降りていくと、「結論」を「根拠」が支えるかたちになっています。すなわち、意味のつながりがしっかり見えているのです。

4つめは「抜け漏れ・ダブりがない」ことです。ピラミッド構造の横並びの項目は抜け漏れがない状態であるべきです。もし、相手の話を聞くなかで抜け漏れが見つかったときは、「この点についてはどうでしょうか?」と足りない情報を捉えます。「他にはありますか?」という質問をすれば、相手の話に対する理解は網羅的になっていきます。

これらがピラミッド構造で考えられているかを確認する、4つのポイントです。

ピラミッド構造で考えるスピードや精度を上げるには、「口癖」を意識するのがおすすめです。特に、打ち合わせの後半に入ってきたら、「4つのポイント」を意識したフレーズをあえて使うのです。

◯ 「ポイントは3つあって……」(グルーピング)
◯ 「結論としては……」(要するに)
◯ 「理由としては……」(なぜ)
◯ 「あと、抜けている点は……」(全部で)

ピラミッド構造を意識して考えることによって、情報をテキストのかたちでまとめたり図解で表現したり、自在に扱えるようになっていきます。

メモに記号を使うとよりわかりやすくなる

ピラミッド構造で考える癖がついていると、図解を用いた整理もしやすくなります。相手の話を図解で見える化できると、意思疎通はとてもスムーズになります。必要なときに、どんな図解を選んだらよいかをすぐに思いつけるように、図解のバリエーションと考え方を知っておくと便利です。

例えば、「↔」で2つの対象を比較する図や、「→」で変化を表す図、「A→B→C」と矢印でつないでプロセスを表す図は特に使いやすいでしょう。ほかにも、物事の大小・強弱・高低・○×・有無、などが縦と横の2軸になっていて「田」の字で表される「ポジション」や、2軸のグルーピングが掛け合わさった「マトリックス」などもよく使用されます。

図解パターンについての説明はここでは割愛しますが、図解するときのポイントとして、どうしてもきれいに図解しきれないときは補助手段を使いましょう。うまく表現できないときの「最終手段」を持っておくと、それが安心材料になります。

例えば、どうしてもうまく表現しきれない場合や、なんらかの情報を後から付け加えたい場合は、「矢印」「吹き出し」「中カッコ」が便利です。

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「矢印」は何かを補足したり、何かが影響を与えていることを表現したりできます。「吹き出し」はとりあえず説明書きを付けておきたいときに重宝します。「中カッコ」はそれぞれをくくって、ひと言で説明するのに使いましょう。「矢印」「吹き出し」「中カッコ」を使うと、きれいに図解しきれないときでも表現を補えます。きれいにまとめようと気負いすぎないことです。

ビジュアルで情報を整理すると、「状況がどうなっていて、次に何を考えるべきか」という論点がクリアになってきます。「見える化」したあと、お互いの認識や必要な情報が揃っている状態になれば、あとはもう動くだけです。また、お互いの認識は揃ったが足りない情報があることが明らかになったなら、必要な情報を確認して先に進むことができるでしょう。

高橋 浩一 TORiX株式会社代表取締役

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たかはし こういち / Kouichi Takahashi

東京大学経済学部卒。外資系戦略コンサルティング会社を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長)。2011年、TORiX株式会社を設立。3万人以上の営業強化支援に携わる。コンペ8年間無敗の経験を基に、2019年『無敗営業「3つの質問」と「4つの力」』、2020年に続編となる『無敗営業 チーム戦略 オンラインとリアル ハイブリッドで勝つ』(ともに日経BP)を出版、シリーズ累計7万部突破。2021年『なぜか声がかかる人の習慣』(日本経済新聞出版)、『気持ちよく人を動かす』(クロスメディア・パブリッシング)を出版。年間200回以上の講演や研修に登壇する傍ら、「無敗営業オンラインサロン」を主宰。

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