大河「鎌倉殿の13人」が何とも身につまされる訳 主役・小栗旬がビジネスパーソンの共感を誘う

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会えなくなった頼朝と八重の橋渡し役を頼まれ、戸惑いながらも対応したところも含め、義時は「常に周囲に振り回され、調整する」という役回り。しかもこの役回りは、頼朝と政子の結婚によって決定的となり、今後は平家打倒のために源氏と坂東(現在の関東)武者たちをつなぐ調整役として奔走する様子が描かれていくようです。

実際、ホームページの登場人物欄を見ると、義時は「田舎の平凡な武家の次男坊」「一癖も二癖もある坂東武者たちの間を奔走する」などと書かれていました。この設定は、「一般のサラリーマンが、上司や同僚、取引先やライバル社の調整役として奔走し、プロジェクトを成功させる」という現代のビジネスシーンに置き換えられます。

タイトルの「13人」に込めた意味

次々に課題を突きつけられる逆境続きの中、できるだけ波風を立てないように、頭と足を使って現状を切り拓いていく。そんな義時の姿はビジネスパーソンたちの参考になるとともに、共感を誘うのではないでしょうか。

過去を振り返ると三谷幸喜さんは、2016年の大河ドラマ『真田丸』でも、主人公・真田信繁(堺雅人)を、父・昌幸(草刈正雄)、豊臣秀吉(小日向文世)、石田三成(山本耕史)、茶々(竹内結子)らに振り回される調整役として描いて共感を集めました。

北条義時も真田信繁も、2010年以降、大河ドラマの主人公だった坂本龍馬、平清盛、西郷隆盛、明智光秀のような誰もが知る歴史上の偉人ではありません。少なくとも序盤は、それらの偉人を支えるタイプの役回りであり、だからこそ生き残る知恵と人間味が表れやすく、見応えが生まれるのです。

また、誰もが知る歴史上の偉人を中心にした作品でないことは、「鎌倉殿の13人」というタイトルを見てもわかるでしょう。その「13人」とは、頼朝の没後、鎌倉幕府2代将軍の源頼家を支えた13人の合議制や、権力闘争を繰り広げた13人を指しているそうです。

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