山形で大逆転狙う「20年売れなかった芸人」の人生 古民家を月100円で借り、畑まで耕す本気ぶり
「僕らが今おるんは、ここ(山形)なんで、こっから(全国に)発信していこうと……」
山形県住みます芸人の「ソラシド」の本坊元児(43)が私にこう話していたのは、一昨年の夏のことだった。
その半年後、本坊の存在は、東京のテレビ局からも注目され、2021年1月には日本テレビの『しゃべくり007』や『人生が変わる1分間の深イイ話』に立て続けに出演。同年4月にはテレビ朝日の『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』でも、彼の山形での生活が取り上げられた。
結果を出してもリセットを繰り返す日々
ソラシドは本坊と水口靖一郎(45)が2001年に結成。昨年、コンビ結成から20年を迎えた。同期には麒麟やアジアン(2021年6月解散)がおり、麒麟の川島明や、千鳥のノブ、笑い飯の西田幸治ら芸人仲間から高い評価を受けている中堅芸人だ。が、コンビ結成から10年はチャンスに恵まれず、「大阪でくすぶり続けていた」(水口)という。
「それでもまだ、大阪ではそこそこ仕事あったんですよ。『京橋花月』には、よく出させてもらってました。ただ、年を重ねていくごとにNGKの出番も、M-1のファイナリストで埋まっていくようになって。そのうちに『京橋花月』も閉めるっていう話(2011年11月閉鎖)が出てきて、いよいよ『路頭に迷うやん』となって」(本坊)
「それで『もう、こうなったら東京行くしかないな』って。けれども、くすぶってるわ、そこそこ、芸歴も積んでるわという芸人が、何のきっかけもなく上京するっていうのも前例がなかったみたいで、会社(吉本興業)の偉い人に『東京に行きたいです』って言いに行ったら、『何しに行くねん?』って言われて(笑)」(水口)
しかし、上京した二人を待っていたのは、大阪時代よりさらに過酷な芸人生活だった。
「そんな感じで大阪を飛び出したんで、会社の人からは『お前らには一切、手貸さん』言われまして(笑)。東京行ってからは(芸人になって)1年目の子らが出るオーディション受けて、劇場のレギュラー、どんどん獲っていって」(本坊)
「けれども、レギュラー獲れたなぁ思ったら、(その劇場の)支配人が変わって、『ソラシド? 知らんなぁ……』みたいな感じで、『はい、リセット』と。また一からオーディション受け直す、みたいな生活を繰り返してました」(水口)
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