コロナ禍で「外での遊び」制限された子の深刻実情 自己肯定感が低下してしまうリスクもある

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――売り上げが前年同期比で95%減とは、ただことではありません。どう対応したのでようか。

費用では、人件費が一番大きかった。従業員の雇用を守るため、ほかのITベンチャーや医療メーカーさんなどの協力を得て、そこに出向をしてもらう形を取りました。アソビューとの雇用契約を残しておく選択です。経営の有事においては、「選択と集中」が必要だと言われます。合理的に取捨選択をすることで、課題を一点突破で超えていく方法です。

でも、巷間言われる合理的な判断がすべて正解だとは思えません。感情やご縁はムダだと言われがちですが、そうでもない。コロナ禍で売り上げがゼロだったときも、実際に、多くの友人が助けてくれました。

遊びも同じだと思います。ほかのものと比べると、どうしてもムダなものと思われがちです。しかし、経済的に豊かな国になった日本では、経済格差の拡大といった問題を抱えつつも、総体としては住む場所や食べ物には困る社会ではありません。

当たり前のことが十分にある環境下だからこそ、幸福実感値を高めるためには「好きな人たちと素敵な時間を過ごすこと」が必要です。コロナ禍でそれが再認識されましたし、そんな思い出を作っていくためにも「遊び」は重要です。

遊びや余暇を享受できていない層も一定数いる

――コロナ禍によって、遊びの価値が見直されているということですか。

そのとおりです。近年、ワークライフバランスが重視され、有給休暇取得の義務化なども進みました。今ほど働き方が注目されている時代はありません。それは言い換えれば、「プライベートの時間をいかに大切にするか」ということです。紆余曲折はあるにしても、この流れはもう変わらないでしょう。

「遊び」「レジャー」という視点で見ると、2020年は外へまったく出かけられなかった年でした。2021年の後半になってようやく規制や自粛は緩和に向かい、友人と久しぶりに会って居酒屋へ行けたり……。久しぶりに会うと、やっぱり「リアルっていい」と感じますよね? だから、2021年の後半は遊びや余暇の価値を再認識できた時期ではないでしょうか。

けれども、先ほども話したように、障害や貧困などによって遊びや余暇をそもそも享受できていない層も一定数、日本には存在しています。そこにどうやって支援の手を広げていくかは、大人の責任です。

もしかしたら、2022年も感染症対策のために、自粛を余儀なくされるかもしれません。政策的にも社会的にも仕方がないことです。けれども、子どもたちには、その時、その瞬間がもう戻ってこない。人生で一番いい時代を過ごしているにもかかわらず、です。青春の1ページです。そこにどんな絵を描くか、コロナ禍でなくても、それを考えることすらできない子どもたちがいるわけです。

繰り返しになりますが、大人全員で対応策を考えるべきではないでしょうか。オミクロン株の感染拡大も懸念されています。仮にこれが再び深刻な事態になったとき、私たち大人は子どもたちに向かって、またも「自粛してね」「我慢しなさい」としか言えないのでしょうか。

取材:板垣聡旨=フロントラインプレス(Fromtline Press)所属

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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