コロナ禍で「外での遊び」制限された子の深刻実情 自己肯定感が低下してしまうリスクもある

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――そうした環境の下で、企業として子どもたちのために、どんなことができるのでしょうか。

アソビューはレジャー関連の企業ですから、その特性を生かそうと、昨年5月、全国のレジャー施設と連携して「子どもの遊び応援キャンペーン」を始めました。子どもたちは2020年、2021年と2年連続でゴールデンウィークに思いきり遊ぶことを我慢してきたわけです。

キャンペーンは抽選で大人1人につき子ども1人が無料でレジャー施設を利用できるというもので、スキューバーダイビングやガラス体験など、さまざまな種類を用意しました。

「子どもたちに遊ぶ機会を提供したい。大人としてなにか一緒に手助けをできないか」というシンプルな発想です。アソビューの予約サイトと提携する約8500のレジャー施設さんに協力を依頼し、約1000もの施設から承諾を得ることができました。このキャンペーンでは、レジャー施設とうちとの間で金銭のやりとりは一切ありません。

2022年は、コロナ禍以外の要因で遊びを制限されている子どもや親たちにも「遊び支援」を広げたいと考えています。今、家計が厳しいため、遊園地や動物園の入場チケットをなかなか買えない人もいるわけです。

障害のある子どもを持つ家庭では、外出の準備だけをとってもほかの家庭より負担が大きく、気軽に遊びに行く機会も少ない。そういった家庭への支援体制をつくるため、アソビューが無償で旗を振って業界全体を巻き込んでいくことを考えています。

売り上げは激減、資金調達の話も白紙に

――コロナ禍の影響で「遊び」は大きな打撃を受けました。アソビューの業績も厳しかったのではないでしょうか。

売り上げは落ちました。2020年春のシーズン(4~5月)では、サービスの取引総額が前年同期比95%減。コロナ終息の見通しも立たないため、レジャー産業のマーケット自体がなくなるかもしれないという恐怖もあって……。2020年4月には、資金調達の話が全部白紙になりました。

コロナに対応したビジネスを展開しなければと思い、企業向けに「レジャー業界のDX」事業を展開しました。入場チケットの電子化や来場者のデータ分析ツールの開発などです。チケットを電子化することで、具体的な来場者のデータ収集ができます。それらのデータはマーケティングに不可欠だし、コロナ対策としての入場者数の管理なども可能にします。

実は、これまで多くのレジャー施設は、雰囲気で数字をつかんでいたんですね。どこから人が来ていて、いつの季節に一番人が多く、どれくらいチケットが買われたのか、そういった大雑把な傾向はわかっていた。ただ、どんな年代でどういう属性が多いのかなどはまったく可視化されていなかったのです。ツールで実際に計測してみると、家族連れが多いと思っていたらカップルが多かったり……。

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