消防車専業で走るモリタ、頭打ち市場でも増収増益


 工場集約に当たり、「効率化生産のための準備もそれなりにしていったが、最初の1年はうまくいかなかった」と中川龍太郎・取締役生産本部長は振り返る。新村会長からバトンを託された中島社長は、2年間工場に張り付いた。「工程の見える化」とそれによる「納期厳守」の徹底に心血を注ぎ、工場はようやく思い描いた姿に生まれ変わっていった。

もともと消防車は、ほとんどが自治体向けの官需だ。乗用車の保有台数5800万台、トラックの保有台数1500万台に比べ、消防車の保有台数はわずか2・5万台。1台1台バラバラの仕様に従って、ベースとなる車両の大きさ、ポンプの仕様、装備品や収納の架装を決めていく。実はすべてが注文生産という世界なのである。

従来は現場に任せていた工程管理を、一つひとつの作業を細かく分析し、消防車1台を仕上げるのに必要な標準工程数を設定した。その工程表と、現在の進捗状況を毎日紙に印刷し、それぞれの車両に張り付ける。生産計画に対し予定どおりなら緑色、1日遅れると黄色、3日以上の遅れは赤色と、誰が見ても一目で進捗がわかるよう色分けも加えた。

工場の原価管理は月ごとから週ごとに切り替え、目の前で造っている消防車の原価の実績と予測が見えるようにした。高水準に発生していた部品のムダも、在庫管理ルールを徹底することで大幅に削減できた。

09年度は消防車の買い替えを促進する政府の特別補正予算が付いたため、消防車の生産台数は過去最高に近い水準となったが、営業部門から生産応援を受けることなく、順調に受注をこなした。この特需と三田工場の効率化がダブルで効き、モリタの09年度営業利益は前期比で2倍近い水準を享受している。

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