消防車専業で走るモリタ、頭打ち市場でも増収増益


 06年、新村氏は、中国やベトナムで子会社を立ち上げ、消防車の現地生産に携わった中島正博氏を、末席取締役から6人抜きで社長に抜擢した。海外強化の経営方針を内外に示す一方で、モリタのさらなる自己改革を託す思いが胸中にあった。

08年10月には、各事業部門にコスト意識を持たせるため、モリタ本体から各部門を分離独立させる。消防車事業を新モリタに、消火器事業をモリタ防災テック、環境事業をモリタ環境テックにそれぞれ分社化し、持ち株会社制度へ移行した。01年に資本・業務提携し、消火器の生産を一部委託していた宮田工業に対しては、さらなる消火器生産の効率化を目的に、08年に約40億円の株式公開買い付けで完全子会社化を実施した。そこで改革の駒は、生産体制の効率化に進んだ。

消防車は自治体の買い替え需要に依存しているため、10~3月に生産が集中する。特に2月は生産が最も集中する時期で、モリタが年間約700台生産する消防車のうち、100台以上がこの1カ月に集中する。納期に間に合わせるため、工場では営業部隊からの応援が毎年の恒例行事となっていた。それでも納期のズレは当たり前のように発生し、現場で徹夜をしながら作業を完遂させるという綱渡りが続いていた。

そこで08年4月、はしご車を作っていた三田工場の隣に新棟を増設。本社に隣接する大阪市生野区のポンプ車製造工場や、同じ大阪市内にあった補修や分解点検を実施するアフターサービス部門を1カ所に集約し、2棟で約5万平方メートルの大規模な消防車工場を立ち上げた。

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