深津絵里の朝ドラ演技が「すごい」と称讃される訳 18歳を演じ「カムカムエヴリバディ」の救世主に
舞台を徹底的に作り込み、妥協なき撮影姿勢と技術で、主演女優の力を引き出す。そんな制作サイドのサポートがあるから深津さんは役作りに集中でき、18歳の女性をそつなく演じられているのです。
このような万全の制作体制は、民放よりも制作費や人的な面で余裕があり、クオリティーを追求できるNHKならではのもの。朝ドラでは「カーネーション」「べっぴんさん」、それ以外では「心の傷を癒すということ」「夫婦善哉」などを手がけたチーフ演出の安達もじりさんを筆頭に、「カムカムエヴリバディ」はNHKの技術力を感じさせる作品なのです。
ただ実のところ、まだ深津さんが持つ本当の演技力が発揮されたシーンは、ごくわずかにすぎません。1月7日放送の第47話で、るいは母・安子と別れたときの記憶がよみがえって複雑な表情を見せ、錠一郞(オダギリジョー)に「あなたのせいで余計なことを思い出してしもうた。忘れたかったのに、忘れるために岡山を出たのに……」と感情的に言い放つシーンがありました。
葛藤と成長を繰り返す、るいをどう演じていくか
今後は、ジョーとの出会いをきっかけに、これまで封印してきた母の記憶がよみがえり、徐々に向き合おうとしていく展開が予告されていますし、その先には「るい」という名前の由来を知るシーンも描かれるでしょう。
さらにそれらがポジティブな方向へつながることは、るいが娘に「ひなた」というルイ・アームストロングの「On the Sunny Side of the Street」にちなんだ名前をつけることからもうかがえます。
「より深読みするなら」という意味で挙げておきたいのは、「るいの結婚相手がジョーとは限らず、むしろ違う人かもしれない」こと。その理由は多少のネタバレにつながるので書きませんが、もしそうならジョーとの恋だけでなく別れが描かれることになり、ここでも深津さんの演技に注目が集まるでしょう。
そんな葛藤と成長を繰り返す、るいを深津さんがどう演じていくのか。本当の意味で「やっぱりうまい」と言われるのは、まさにこれからなのです。
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