2022年においても、半導体不足、原油高に原材料高、円安は急には改善できない状況なので、そこにもし中国の工場のシャットダウンが加われば、世界経済への打撃は避けられないでしょう。つまりオミクロン株の中国での拡大次第では、2022年の世界経済が大混乱に陥るかもしれないというリスクを想定しておく必要があるのです。
最初のリスクだけでも経済におよぼす影響は大きいのですが、もしそのシナリオが現実化した場合、わが国の医療面にも大きな影響は避けられないかもしれません。
それはワクチンの争奪戦に14億人の人口を有する中国が参入するという新展開です。
あくまでオミクロン株に中国産ワクチンが効かなかった場合の話にはなるのですが、もしそうなれば中国の指導者はファイザー、モデルナに対してワクチンの供給を要請することもありうるでしょう。同様に承認されたばかりの新型コロナ治療薬についても同様の動きが起きるはずです。
そうなった場合、何が起きるのか?
ストレートに考えれば、日本に入る予定だったワクチンや治療薬が、予定どおりには届かないという事態になりかねません。
「そんなことを言っても、日本政府がすでに予約済みのワクチンだから、当然約束どおりのスケジュールで入ってくるべきじゃないのか?」
ワクチンは世界各国の戦略物資に
そのような主張はわからないこともないのですが、問題はワクチンが世界各国の戦略物資になっているという現実です。
ファイザーのCEOが先進国の首脳と直接電話会談を行って、ワクチンの優先供給を約束しているのはそれがビジネスにつながるからです。日本がワクチンで優先されているということは、途上国市場よりも日本市場が有望視されていることを意味します。
ところがそこに14億人の大市場が割って入ってきたとしたら? 市場の有望度合いで比べれば、中国市場には日本市場以上の分があります。
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