衆院選「各党のネット戦略」詳細分析で見えたこと 今後は政党間格差が広がってしまう懸念もある
特設サイトが最も充実していたのは立憲民主党だった。サイトのトップには左に「変えよう。」というコピーが重なる右を向いた枝野幸男代表の横顔クローズアップ。目線の先には投票を呼びかけるスライド式のコーナーとカラフルな「枝野幸男が送る100のメッセージ」へのリンクが表示されていた。
その下には枝野氏の記したものと思われるボディコピーのような有権者へのメッセージ。
続くのは政策を記したインスタグラム風の縦画像、候補者、活動ニュース、活動日程、インタビュー動画集「りっけんInterview」、政治に対する人々の思いを写真とともに集約したコーナーとリンク、CMやポスターコーナーへのリンク、SNSでシェアできるコンテンツ集へのリンク、「女性の声が、政治を変える。」というジェンダー問題を扱うコーナーとリンク、最後には各種公式SNSへのリンク。
立憲民主党のサイトは構成、デザインともにどの政党よりも作り込まれており、NHK連続テレビ小説や大河ドラマのポスターやメインビジュアルも担当した写真家のレスリー・キー氏による作品も含まれていた。青を基調としたデザインや「変えよう」という表現は、08年の米大統領選挙における民主党オバマ陣営の選挙キャンペーンを彷彿させた。
自民、維新、れいわが立憲民主の次に充実
次に充実していたのは自民党、日本維新の会、れいわ新選組の3党だ。
自民党のトップは左に穏やかな表情をした岸田文雄新総裁のバストアップショット、中央にキャッチコピー「新しい時代を皆さんとともに。」、右にリンク一覧だ。サイトには演説動画へのリンクや18歳選挙に関するアニメ、投票方法に関する情報などが並び、情報量は多いが全体的に落ち着いた、洗練された素朴なデザインのサイトである。
日本維新の会のトップには、演説する吉村副代表・大阪府知事と松井代表・大阪市長の隣に「身を切る改革、実行中。維新はやる。政治家のあり方を変える。」というキャッチコピーが表示されていた。主張の文言を表示した縦画像を多数掲載、AかBかという対立構図のコピーが目立つ、勢いを感じさせるデザインだった。
れいわ新選組はトップにユーチューブ動画への、山本太郎代表の画像つきリンクを貼っていた。その下にはれいわニューディールのマニフェストへのリンクなどが並び、ピンクを基調とした統一感のあるデザインで、至るところに山本代表の顔が用いられていた。ただ、前出の3党に比べるとリンクが多くトップページ自体の情報量が少ない。
以上4党以外の特設サイトは若干のデザイン上の工夫を除けばリンク集としての性格が強く、公開されている情報は少なく似通っていた。
デザインが印象的なのは国民民主党だ。トップの画面左に「動け、日本。」、右には、見る人と目が合いそうな、躍動感ある玉木雄一郎代表が表示されていた。政党のなかで唯一公認キャラクターが登場するほか、SNSを含む全体的に統一されたデザインが特徴的だ。
公明党のトップには夜明けの青空の中心に「日本再生へ 新たな挑戦。」という文言と重点政策へのリンク、右側に山口那津男代表が表示されていた。若者向け、女性向け特設サイトへのリンクも貼られていたが、これらは衆院選用に作られたものではなく強調されているわけでもなかった。
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