衆院選「各党のネット戦略」詳細分析で見えたこと 今後は政党間格差が広がってしまう懸念もある

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共産党は政党のなかで唯一、トップに代表の顔もキャッチコピーも表示しなかった。トップに表示されたのは8月の党設立99周年記念講演で発表された政策や考えを説明する特設サイトへのリンクだった。

社民党は「ひとりを笑うな。どんなに大きい変化も、ひとりの声から始まる。」という大きなコピーとその隣の青い服を着て赤いバラを持つ福島みずほ代表のバストアップ写真。その下には新着記事やSNS更新情報、動画のリンクが並ぶが、コンテンツの量は少なかった。

なお、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で(NHK党)は特設サイトを設けておらず、通常の政党用ウェブサイトを使用。トップには立花孝志代表の演説の様子がスライドショー風に表示され、画像やバナーではなく文字で政策や選挙情報が示されていた。他の政党サイトに比べて文字情報が多く、低コストで制作されたことがわかるデザインだった。

こうしてサイトを見比べると、政党間の格差は歴然としている。トップページに情報量が多かった上位3党は、多くの議席を獲得した上位3党でもある。

最も頻繁に活用されたのはツイッター

選挙期間中、最も頻繁に活用されたSNSはツイッターである。インスタグラムとユーチューブの使用率は増えたものの、最も手軽で多様な表現ができ、拡散性のあるメディアとしてSNSの中心的な存在である。

ツイッターはネット選挙解禁時から注目されたが、当初は街頭演説の予告が多く、政策や候補者についての情報が少ないといった指摘がなされてきた。2019年頃からは候補者の写真に発言を載せた文字入り写真や、ツイッター上で視聴できる演説動画の投稿が増えた。ツイッターのなかだけで政党や候補者について多くの情報を手軽に受け取ることができるようになってきたのだ。

今回、政党の公式アカウントはどのように運用されたのだろうか。

SNSは特設サイトと違って優劣をつけ難いが、投稿内容の多様性や工夫が最も多く確認できたのは立憲民主党だった。フォロワー数は19万人と自民党に次いで二番目。演説の予告や公約、候補者の情報の発信などは他党と共通しているものの、政策に関するQ&Aや政党の公約を比較したサイトを引用するなど、わかりやすく伝える工夫が凝らされていた。

また、批判ばかりの野党といった与党議員からの指摘に対する反論を投稿、一般人や企業の投稿をリツイートするなど柔軟な運用も見られた。

ボランティアの募集や拡散用のバナーの共有など、支持者への呼びかけも活発に行われた。多用されたハッシュタグには「#政権交代しよう」、「#女性の声が政治を変える」、「#100MessagesForYou」など、現状に対する問題意識を高め政権交代の必要性を訴えるものが並んだ。

フォロワー数が23万人で政党のなかで最も多い自民党の公式アカウントは、演説の予告を始めとして公約、期日前投票の案内、他の候補者の動向のリツイートなど、一方的に情報を共有する傾向が強かった。頻繁に使用したハッシュタグには「#ivoted2021」、「#実績と実現力の自民党」、「#データで見る実績」などが挙げられており、アピールポイントだった実績をハッシュタグにも反映していた。

岸田総裁の投稿のリツイートも多く、総裁選から本格的にSNSを活用し始めた岸田総裁を中心に展開されていたが、首相としての活動自体はリツイートせず、選挙運動と首相としての活動を区別している様子が見られた。

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