IMFが日本やユーロ圏に警告

世界成長予想を引き下げ

 10月7日、IMFは世界経済の成長率予想を引き下げた。写真はラガルド専務理事。パリで7月撮影(2014年 ロイター/Philippe Wojazer)

[ワシントン 7日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は7日に発表した「世界経済見通し」で、2014年の世界経済の成長率予想を3.3%、15年は3.8%に引き下げた。ユーロ圏の中核となる国々や日本に加え、ブラジルなど新興国の成長鈍化を警告した。

7月時点の予想は14年が3.4%、15年は4.0%だった。

IMFは、これまで3年間に発表した12回のうち9回で足元の年について見通しを引き下げている。07─09年の金融危機の後、財政赤字と高い失業率から先進国がもっと早く脱却すると常に過大評価してきた。

長期的な潜在成長率も下方修正された。チーフ・エコノミストのブランシャール氏は「将来についての下押し要因」が既に足元の成長を歪めていると指摘。「下押し要因は過去から来るものも、予測される将来において生じるものもある。これがこれまでの下方修正について説明していると思う」と述べた。

経済の停滞を避けるため、IMFは労働市場改革や租税回避対策、インフラ投資の拡大など一連の構造改革の実施をあらためて各国に求めた。

米国の財務長官だったサマーズ氏が語る「長期的停滞」への懸念に呼応してブランシャール氏は、多くの先進国で金利がゼロに近い水準にあり需要を高めるのは難しくなっていると指摘。記者会見で「潜在的な生産を上げるのに十分な需要を喚起できるかどうか、まだ分からない。難しいかもしれない」と述べた。

IMFの経済見通しは、IMF・世界銀行の年次総会のために今週、米首都ワシントンに集まって来る各国の経済政策当局者らの議論の土台となる。

英国や米国などの一部の先進国で経済が勢いづく中、IMFはユーロ圏における三大経済大国であるドイツ、フランス、イタリアの成長見通しを下方修正し、先進国は金融刺激を維持することが不可欠だとした。

日本やブラジルなどの成長見通しも引き下げた。新興国の潜在成長力は11年時点の予測と比べて1.5ポイント低いとした。

IMFは、ユーロ圏が今後1年間でデフレに陥る確率を30%、景気後退となる可能性は40%とした。

ブランシャール氏は「ユーロ圏の経済回復が失速し、需要がいっそう減少して、低インフレはデフレに変わるリスクがある」とし、「その場合、世界経済にとっても大きな問題となる」と指摘した。

米国の経済見通しが明るさを増し、来年には金融政策を引き締め方向に転換すると見込まれる一方で、ユーロ圏経済が振るわず、日本もマイナス成長となったことで、金融市場は混乱している。ドルは12週続伸し、その期間は40年以上ぶりの長さとなった。

ルー米財務長官は、経済成長促進に向けた他の国々の努力を米国は支持すると述べ、このところのドル高傾向については恐れていないようにみえる。

ドイツが財政緊縮を棚上げにするものだと警告しているものの、西側諸国の大半はユーロ圏に対して成長促進策のさらなる実施を求めるとみられる。

IMFは、来年にFRBが利上げを開始すれば、金融市場のバブル的な価格上昇は突然はじけることになると警告。ブランシャール氏はこうした副作用の軽減に向けて、金融規制当局者が「目的を達成しているか」疑問だとした。

IMFは、ロシアとウクライナの間の緊張や中東情勢緊迫に伴う地政学的リスクについても警告。世界経済にとって増大するリスクとなっており、原油価格を押し上げ、貿易や金融上の混乱を深めるとした。

緩和的な金融政策が限界に達し、財政逼迫で政府による公共投資もままならないが、IMFは全ての国にさらなる構造改革の実施を要請した。

ブランシャール氏は「『構造改革の約束』という単なるお題目を超え、最も必要性が高く、政治的に実現可能な改革を特定できるかどうかが挑戦となる」と述べている。

 

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