英語よりも、本質を見極める力を養え グローバル化の本質を誤解している日本(下)

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人文科学系の学問では哲学、宗教学、論理学、歴史学、地理学、人類学、言語学、心理学など、社会科学系の学問では政治学、経済学、経営学、法学、統計学など、自然科学系の学問では物理学、化学、生物学、数学、天文学など、可能な限り幅広い知識を持っていたほうが好ましいでしょう。

ジャンルにとらわれない広範な知識は、そのままその人の視野の広さに直結します。視野が広ければ広いほど、特定の分野の知識だけではとても導き出せない判断ができるようになるものです。他の分野の知識や考え方を取り入れることによって、もっと合理的に、一段と論理的に、いっそう体系的に判断できるようになるからです。

歴史と宗教を学ぶことが理解の第一歩

おそらくここに来て、次のような質問が出て来るかもしれません。「いろいろな学問を学ぶのはいいとして、まずは何から学べばいいのか教えてほしい」と。

この質問に対する答えは、前回の記事のイスラム教徒の例で示したように、「彼らの考え方や行動原理を理解するためには、まずは何を学ばなければならないのか」ということを考えると、すぐに合点がいきます。彼らをしっかりと理解し、尊重するためには、彼らの「歴史」や「宗教」を学ぶことから始めなければならないのです。

要するに、私たちが初めに実践しなければならないのは、歴史(学)と宗教(学)を学ぶことです。(厳密な言葉の意味では、「歴史(宗教)」は歴史(宗教)そのものであり、「歴史学(宗教学)」は歴史(宗教)を研究対象とした学問でありますが、この記事では「歴史(宗教)を学ぶ=歴史学(宗教学)を学ぶ」として同じ意味として扱っています)。

そのことを実践している典型的な事例が、イギリスやドイツの教養の高い人々によく見られます。イギリスやドイツの知識人は、ある国や民族を理解しようと思ったら、まずその国の歴史や宗教を研究することから始めるのです。

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