これらの段階を、上司や先輩に加え、顧客などのステークホルダーを教師にして、社会的実践を通じて学び成長することでアイデンティティを確立し、新参者から価値観やコア能力を体現できる組織の中心的存在になっていくのです。
寮生活や合宿、クラブ活動で「らしさ」を伝授
日本型サスティナブル企業には、職場でのOJTをサポートするような仕組みをもっているところがあります。
名古屋に本社を置くある日本型サスティナブル企業においては、入社した男性新入社員は、入社1年間は独身寮に住むことが義務づけられています。性別、国籍を問わず、2人部屋・年に3回部屋替えが行われ、同室者が替わるという制度を有している企業もあります。
近年は経費削減や世代の変化により、企業寮そのものが減少傾向にある中で、1年とはいえ入寮が義務づけられているのは時代に逆行したルールなのかもしれません。しかし、その会社の寮は自治寮として運営され、しつけ等も含め共同生活を通じて社会人としての基礎教育の場と捉えられ、継続されています。そして寮の活動を通じて他部署の先輩と積極的にかかわり、部署や入社年度を超えた強いつながりが自然に生まれる場になっているのです。「この寮生活が忘れがたい経験なっている」という話はあちら、こちらで聞きました。
また、同社はさまざまな「クラブ活動」にも、多くの従業員が参加しています。世代を超えた活動が「らしさ」のを伝えるキーのひとつになっていることは想像に難くありません。
京都の日本酒メーカーは新卒内定者研修の一環で酒造り研修を行っています。これは内定者と入社1年目の社員に酒造りの工程の一部を体験させるもので、泊まり込みの研修です。内定者はまだ正式な社員ではないのでホテルに宿泊しますが、1年目の社員は同社施設で全員寝泊まりをします。自社の本業である酒造りがどういうものであるかを新入社員の時に知ることは、たとえ数日でも強い体験となるのです。
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