なぜ長寿企業は「人材育成」が上手なのか

強さの訳はここにある――OJT編

しかし、最近そのお家芸であったOJTが上手く機能しないという話が多く聞かれます。低成長による育成機会の減少、非正規社員の増加やリストラ、転職による雇用の流動化、経費削減に伴う社内飲み会の減少、産業構造の変化、多様性のある集団、短期成果の追求、若手の価値観の大きな変化など、さまざまなビジネス環境の変化があり、組織の慣性や時間の経過とともに自然にでき上がったOJTのままでは機能しにくくなっているのかもしれません。

徒弟的システムを上手く活用

このような時代背景の中、日本型サスティナブル企業には、徒弟制度的な仕組み、つまり正統的なOJTをしっかりと根付かせ有効に活用しているケースが多く見られます。

 組織学習の場である会社に新しいメンバーが加わると、熟達者=中心的存在のメンバーである先輩社員や経営者、顧客を含めたステークホルダー全員が教師になり、新メンバーを含めた学習が回り始めます。新入社員は、ステークホルダーである教師との間で徒弟制度的プロセスを経て、その実践共同体の価値観やコア能力を発揮するといった社風を体現する社員に成長していくのです。徒弟制度的プロセスは、次の4つのプロセスから成り立っています。

① 規範と目的の提示
最初は周辺的(レストラン修業で言えば皿洗いなど)な仕事をしながら、先輩の仕事のやり方を観察し、自分が会社の一員であると認識する段階です。

②親方による個別指導
先輩が適切な課題を選んで、手取り足取り教えながら、失敗を通じて学んでいく段階。例えば、顧客との接し方などを先輩が指導しながら、顧客や仕入先との交渉を初めて経験します。失敗しながら学び、先輩の仕事を見よう見まねでできるようにするイメージです。

② 独り立ちの足場作り
一通りの仕事ができるようになり、独り立ちの準備をしていく段階です。例えば「○○さんらしい」と言ってもらえる仕事の実践を通じて学び、実感する段階になります。

④支援を減らし自律に導く
必要なこと以外は口出ししないようにして、先輩が離れていき、独り立ちする段階です。

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