同好の志を得た「健さん」も嬉々として図書館の司書よろしく、グループの人の好みを覚えて、次々にVHSを貸してくれました。当時の「健さん」は私たちにとっては新興宗教の教祖様のような存在です。
彼が妻を無視したことから始まったとはいえ、今では妻から無視されている「健さん」が、一躍脚光を浴びる時代の到来です。そして韓流ドラマに関する限り彼は、妻ともその友人グループとも解説を交えてとても饒舌になりました。オソルベシ、エンターテメントの力!
北風が太陽に負けた!
もう一人紹介差し上げたいのは、私の甥っこ夫婦です。甥はとても無口で、親の教育の悪さもあって、挨拶がとても下手というかタイミングがあいません。いきおい年上の人にもタイミングの悪い目礼で済ませるので、相手によっては、無視されたと気を悪くされるほどです。そんな甥に、お見合いで明るい新妻(由子さん)がやってきました。
甥は無口だけれど誠実で賢く、仕事熱心です。彼の良さを、可愛くて育ちの良いお嫁さん・由子さんは解ってくれるかしら?
綾小路公麿さんではありませんが「それから30年」。由子さんは結婚生活で苦労していたならあり得ない微笑みが絶えない人で、相変わらず美しさと品も持続しています。
前出の節子さんは、夫に合わせて家庭内では無口になったのですが、甥宅では全員が由子さんのカラーに染まっていったのです。3人の子たちもそれぞれ品よく明るく、当たり前ですが真面目で素晴らしい心からの挨拶と会話ができる成人に育ちました。
何年振りかで私がその家を訪問した時、100ワットの電球がついているような明るい雰囲気に、私は仰天しました。皆、甥に似ずに良かったと由子さんに感謝しましたが、話はそれだけでは終わりませんでした。
昔は超無口だった甥までが、信じられないくらいの(普通の)明るさです。北風と太陽で太陽が勝った物語をみるようでした。まさに“主婦の微笑みは、朝の太陽に勝る”ですね。
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