15歳が決断した、単身の海外寮生活 中学生が半年のマレーシア生活で得たもの

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寮生活も寮生は70人くらいで男女が半々くらいだった。寮生活は楽しかったが、それでもホームシックで夜になるとよく泣いたという。「親とスカイプしては泣いていました」

それでもだんだんと生活にも慣れ、英語の会話も聞き取れるようになってきた。当初は英語の本を1冊読むのに3ヵ月くらいかかっていたのだが、1週間くらいで読めるようになった。

入学して半年後、玲美さんは日本の軽井沢で行われたサマースクールに参加する。そこで気がついたことがあった。

「サマースクールには帰国子女がたくさん来ていたんですが、彼らの英語は本当に上手なんです。私もようやく英語が聞き取れるようになったけれど、マレーシアで英語を伸ばしたところで、彼らには敵わない。私の夢は小説家か翻訳家になることですが、そのためには英語だけじゃダメだ、と。そして学問に関しては日本語で学んだほうがいろいろと効率的だということに気がついたのです。英語で学ぶのにはどうしても時間がかかってしまいます」

あらためて、自分がどこへ進むべきか、悩みが生じた。そんな折り、彼女が思い出したのは、日本で見学した都立高校の文化祭だ。自由で伸び伸びした雰囲気と、みんなで力を合わせて何かをやり遂げることへの強い憧れがあった。

「もともと、都立高校にはとても興味がありました。そこでやはり日本に戻って中学を卒業し、都立高校を受験しようと思ったのです。もし英語で学びたければまた大学で来ればいいかなと」

半年のマレーシア生活で得たものとは?

玲美さんは、親の反対を押しきり、2015年1月からの三学期だけ、日本の公立中学校に戻ることを決定した。その後、すぐに都立高校の受験を予定している。現在は2014年末までの、最後のマレーシア生活を楽しんでいる。

「結局マレーシアにいたのは半年間だけでしたが、この半年はすごく重い意味のある半年にできたと思います。英語も上達しましたが、やはり住んでみないとわからないことがたくさんあると痛感しました。自分の進む道を自分で選ぶことに対して、無理を聞いて応援してくれた両親にはとても感謝しています」と振り返る。

最後に、玲美さんのお母さんのコメントを紹介する。

「マレーシアへの留学を経験して娘はたいへん成長しました。夏休みの帰国時には困っている人を見かけると国籍を問わず、直ぐに助ける行動ができるようになっていました。どんな場面でも人に質問したり説明することもためらわなくなり、以前のような冷めた発言が身を潜めていたので、私はとても驚き心から嬉しくなりました。英語も上達しましたが、人間力、コミュニケーション力の向上は想像以上の結果でした。マレーシアの国民性と娘に関わって下さった皆様に感謝します」

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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