15歳が決断した、単身の海外寮生活 中学生が半年のマレーシア生活で得たもの

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調査は玲美さん自身で行った。英語と日本語を使い、各学校のホームページを調べ、メールのやり取りをはじめた。

「親は英語ができませんから、自分でやるしかなかったのです」と玲美さんは笑う。やり取りした相手の中には、玲美さんからのメールを親からのメールだと勘違いしていた人もいたくらいだ。

「まず最初に、母についてインドネシアに行ってみたのですが、正直あまり良い印象がなかったのです。次に調べたシンガポールは適当な寮が見つかりませんでした。タイには良い学校がありました。しかし両親からは、タイよりもマレーシアのほうが国際色豊かで、中国人、インド人も多く良いのではと言われたのです」

寮があり、国際色が豊かで、できれば日本人がいない学校、というように学校をひとつひとつ絞って行き、一ヵ月後の11月にはマレーシアの学校3校を受験しにきた。これが初のマレーシアへの訪問となった。

「はじめて来たマレーシア。インドネシアに比べて進んでいるので驚きました。街が整っているなと思いました」と語る。インドネシアに比べて街がスッキリしており、交通事情も良いところが気に入ったという。

「実際に試験を受けに学校を訪問してみると、1つの学校はできたばかりで、まだ何も整っていない感じでした。もう1校には同じ学年に日本人がすでにいたのが嫌で辞めました」

最終的に、クアラ・ルンプールから1時間くらいの距離にある、プトラジャヤにあるネクサスインターナショナルスクールに決定する。

2014年1月には入寮し、学習をはじめた。ネクサスインターナショナルスクールはIBプログラムを採用するが、中学生までは通常の英国式カリキュラム。生徒の多くがマレーシア人で、担任の先生はイギリス人だった。クラスの日本人は一人だけ。クラスのほとんどがマレーシア人だったことにはちょっとがっかりしたという。

留学での苦労とは?

はじめは苦労の連続だった。「とにかく1日が困惑と混乱と新発見と学びで猛烈なスピードでブワァーって過ぎて行く感じです」

とくに苦労したのが英語だ。受験の日、同じように受験したマレーシア人の子が何人かいたのだが、彼らの英語の会話がほとんどわからなかった。「日本での英語と違い会話のスピードが早く、何を言っているのかという感じでした。何回も聞き返すと、いいよなんでもないって言われたり、日本人は静かだよねって言われたりして悔しくなったこともありました」

英語だけは補修のクラスに入ることになった。悔しいこと、辛いことのほうが多い始まりだったという。英語以外の授業内容は東京の私立学校と比べて「緩かった」と言う。マレーシアの多くの中学校では学期末に試験があるのだが、それもなかった。

「とくに算数や理科は日本に比べ、簡単に感じました。一番下のクラスの子には三角形の面積の出し方もわからない子がいて、正直なところ、物足りない感じでした。一方で、社会科系では日本にはないエッセイを書かされるので楽しかったです。試験もないし、先生も優しくて怒られることもあまりありません。不良もいないし、お金持ちの子どもが多く、のほほんとした感じでした。ほかの学校から来た友達はこの学校は緩いと言っていました」

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