iPhone6、「SIMフリー版」が人気なワケ

契約先を替える予定がない人もSIMフリー

今回、iPhoneは、各携帯電話会社のロックがかかったモデルに加えて、発売当初からSIMフリーモデルの販売がスタートした。iPhone 5sもSIMフリーモデルを発売したが、iPhone 5sそのものの発売日から遅れてのリリースだった。

SIMフリーモデルの魅力は、海外へいった際に現地のSIMカードを利用でき、旅行中などでより安くデータや通話を利用できる点が挙げられる。また、海外旅行にいかなくても、日本ではキャリアをまたぐ際に端末を買い直さなくても良いというメリットがあり、格安SIMなど、より有利な料金を提示するキャリアが出てきた場合にも対応できる。

その一方で、携帯電話会社による端末代の補助が受けられないため、iPhone 6 16GBで6万7800円(税別)という、かなりの金額を支払う必要がある。しかしそれでも、行列の中では、当日販売分でSIMフリーモデルを求める人が一定量いた。この事実については、これまでの日本の携帯電話市場にとって、一つのインパクトを与えていくことになるかもしれない。

フルプライスで買われるようになった

ただ、アップルも本国である米国でSIMフリーのスマートフォンを併売し始めたのはここ数年の話。iPhone登場当時は、AT&Tからのみ発売され、SIMロックがかけられた状態で出荷されてきた。その後、音声やSMSからの都度課金の収入から、月額料金がある程度固定されるデータ通信へと携帯電話会社の収益基盤が移るなどの、環境の変化が進む中で、SIMフリーモデルの取り扱いが始まったのだ。

フルプライスであっても購入してもらえるスマートフォンブランドを、アップルが7年で作り上げることに成功した。言い方を変えれば、6万円を超えるスマートフォンを買ってもらえるようになるまで、7年かかったということでもある。これは、良い端末を作れば、SIMフリーのフルプライスでも購入してもらえる、という単純な話ではないだろう。

今回、iPhoneは大画面化したとはいえ、日本のメーカーの端末と比較すると、ワンセグ・フルセグのテレビ機能や防水機能、(日本でも利用できる)おサイフケータイ機能など、他社のスマートフォンを完全にキャッチアップしたわけではない。

それでも、「iPhoneだから買ってもらえる」というのは、アップルがそうした状況を作ってきたから、という評価をした方が良いだろう。垂直統合にこだわり、デザインにこだわり、エコシステムにこだわった結果だから、ではないだろうか。

冷静に見るとアップルは必ずしも、テクノロジーを真っ先に追いかける企業とは言えない。しかし適切に対応する企業ではある。画面の大型化も、NFC(近接通信)への対応も、これらのカードを切らなくても競争できる製品作りを行うことで、これらの比較的分かりやすいアップデートが、今回の「切り札」となった。

折しも、ソニーやサムスン電子などのアップル以外の複数のメーカーのスマートフォン事業は苦戦中だ。こうしたメーカーは、ハイエンドスマートフォン市場でどのように戦っていくのか。決してまだ、手詰まりではないはずだ。

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