「野菜ジュース」の成分は“満足感”だけ! 「1本で1日に必要な野菜」「濃縮還元」は詐欺!?

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そもそも、“意外な”原材料の着色料がドリンクや食品に使用されるのは、もともと着色料が衣料の染色から始まったからだという。そして、消費者も「きれいな色」のドリンクを好み、味をイメージする重要な要素となっている。

味覚に与える影響は、香りより色のほうが大きい

安部さんは講演で香料と着色料を使ったこんな実験をしている。

片方にメロンの香料、片方にレモンの香料を入れて、色をつけない透明な液体を聴衆に飲ませて、何のドリンクか当てさせる。すると、ほとんどの人は当てられない。

次に、レモンの香料のほうを緑に着色すると、「メロン」と答えるという。つまり、透明だと何のドリンクか判断できず、香りより色が大事なのだ。「試しに、『ファンタオレンジ』を誰かに目をつむって飲ませて、何味か当てさせてみるといい」。

「きれいな色」だけでなく、「自然な色」に見せるためにも、わざわざ着色料が使われる。前述のカラメル色素だ。

「赤っぽい茶色から真っ黒まで、いろんなカラメル色があり、私も売り歩いていた。日本の着色料の80%はカラメル色素。醤油やみその文化だから、茶色は自然な色に見えて安心するのです」

ただし、カラメル色素には製法によって4種類あり、発がん性が疑われるものもある(詳細は明日の記事で説明)。なぜメーカーはその製法で作るのか。

「昔ながらの砂糖を煮詰める方法ではカラメル色が安定しないからです。特にクエン酸が入った酸味の中だと色があせていく。数年経っても色が変わらないように化学処理をする」

消費者は、そうまでして「きれいな色」や「自然な色」のドリンクを飲みたいわけではなく、安全性が何より重要なはずだ。しかし、その判断をするためにも、メーカーの情報開示と、消費者の知る意欲が不可欠である。

 B郞はブラックコーヒーを飲みながら、野菜ジュースのメーカーのホームページを見て、自分に言い聞かせた。「国が認可しているし、大企業が売っているんだから安全だよなあ」
 明日は、仕事と家庭の両立に奮闘するC美が飲んでいる「栄養ドリンク」と「トクホ」の裏側を紹介する。 
上田 真緒 ライター、編集者

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うえだ まお / Mao Ueda

ビジネス誌、ビジネス書の編集者・ライター

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