楽天の「妄想力」、次に狙う革命はこれだ!

エアアジアとの提携に籠められた深い意味

山田:楽天のビジネスとのシナジーもある。

三木谷:楽天トラベルも含め、LCCとの連携が重要になってくる。自分自身でLCCの経営をする気はないけれども、出資させていただけるのであれば出資して戦略的に提携する、ということです。

もう一つの理由が、閉鎖空間の活用です。Googleをはじめ、いろいろな企業がクルマに乗り出している。クルマが自動操縦になる中で、これからは車内がインタラクティブなメディアに接する場所になってくるわけ。スマートフォンが出て、スマートTVが出てきて、スマートウォッチが出てきた。次にアップルはもしかして、icar(アイカー)を出すかもしれない。

そこで僕が思ったのは、よくよく考えてみるとエアラインって、ものすごく閉鎖された空間。しかも何時間もやることがないので、インターネットを体験する最高の空間だな、と思ったわけです。エアアジアは年間5000万人ぐらい運んでいて毎年20~30%伸びている。もう少ししたら1億人を動かすようになる。そのエアラインの中で一緒に提携して面白いことできるよね、とトニー(・フェルナンデス)と話をした。

別にエアアジアへの本体への出資は今回していませんが、エアアジア全体と楽天グループが提携をするという意味合いもあります。

LCCは革命的なことができる

山田:「モノを運ぶ」ということではヤマト運輸の小倉昌男さんのおかげで価格の引き下げが進んだ。「情報を運ぶ」という通信コストの面でも、孫さんのADSL参入以降、低価格化が進んだ。「人を運ぶ」という点での価格革命は、まだ起きていない。

三木谷:確かに革命的なことができると思うんですよ。本当に3分の1にできてしまう。そうすると経済が大きく伸びる。トニーがいつも言っているのは、「俺たちは別に既存のエアラインのビジネスを作ったのではない。要するに今まで旅行をしなかった人が、旅行するようになったんだ」と。「新しい需要を創造しているんだ」と言っていて、それは本当にそうだと思うんですね。

考えてみると楽しいじゃないですか。今週は北海道行こうよ、来週は沖縄まで行ってみよう、ということが実現する。その上、エアアジアは古い飛行機を使っているわけではなく、最新の機種を使っているんですから。

山田:エアラインは、トラック物流に例えると、長距離便中心だった30年以上前の状況と同じなのかもしれないですね。分散化すれば、多くのことができる。

三木谷:そうですね。日本国内の移動でも、LCCが極めて重要なソリューションになると思います。

山田:買い物のコストを下げてそこに楽しみができる、というのが楽天市場。人のコミュニケーションのコストを下げれば、そこに楽しさが生まれる、これがViber。人の移動コストを下げれば、そこにもっと楽しさが加わる、これがLCC。この理解でいいわけですよね。

三木谷:コストを下げることの重要な点は、回数が増えるということなんですよ。買い物もコミュニケーションもそう。旅行の場合もそうで、回数が3回だった人が5回とか6回になるわけです。そうするとレストランとかホテルが成長産業になる。

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