高学歴の親が「わが子を無茶ぶりで潰す」納得理由 「見込みの評価」はなぜそこまでズレるのか

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私のこれまでの教え子の中にも、志望校のレベルが自分の学力からかけ離れていて、志望校へのとても強いあこがれはあるのに、合格のために頑張るという行動がなかなかできないという子が何人もいました。

一般的に、価値が高い目標ほど、達成の期待は低くなります。価値と期待はだいたいトレードオフの関係です。これを前提として考えると、「価値80・期待20」の目標や、「価値20・期待80」の目標よりも、「価値50・期待50」の目標のほうが、かけ算の答えは大きくなります。ちょうどいい難易度を選ぶことの重要性がよくおわかりいただけると思います。

ここまでの話は、理屈っぽいことを言われなくても、なんとなくわかっている方も多いでしょう。ご自身の仕事においても、簡単すぎる目標ではおもしろくありませんが、困難過ぎる目標だと部下はついてこない。ちょうどいい目標設定が大事だ。そんなことを実感しているのではないでしょうか。

では、わかっているはずなのに、なぜこれが落とし穴になるのか? それは、親子で「見込みの評価」にズレが生じることが多いからです。

子どもはまだ人生経験が少ないので自信が持てない

やる気が出るかどうかを決める期待も価値も、どちらも主観的な評価です。客観的なデータではありません。模試を受けて判定が合格確率20%と返ってきたとしても、「ここから逆転合格できる!」と考えている人にとっては「期待は高い」のです。一方で、合格確率50%の判定でも、「ダメかもしれない」と考えている人にとっては「期待は低い」ということになります。要するに、本人の自信の問題なのです。

この自信というのはとてもやっかいなものです。「自信を持て」と言われて持てるのであれば苦労はありません。自信が持てるようになるための本質的な方法は、成功体験を積み重ねることだけです。しかし、子どもはそもそも人生経験が少ないので、成功体験の絶対数が大人よりも不足しています。だから、根拠のある確かな自信を持っていたりはしないのが普通です。

そんな子どもに対して、高学歴で仕事でも成功している親、つまりこれまで成功体験を積み重ねてきた親が、その基準で「この目標は達成できる!」「ここからでもいける!」と評価していても、それは子どもには伝わりません。

親である自分からすると十分いける目標、むしろやりがいがある目標なのに、子どもは諦めモードでちっとも燃えてこない。見ていて歯がゆくなり、ついついお説教が増え、子どもはますます自信を喪失していく――見事な悪循環です。

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