高学歴の親が「わが子を無茶ぶりで潰す」納得理由 「見込みの評価」はなぜそこまでズレるのか

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こうした状態に陥らないようにするには、わが子の目線に立って、その子の基準で「達成できそう」と思える目標設定にしていくことが必要なのです。

難易度が高すぎる「鬼畜ゲー」は上級者専用

この目標設定について、以前、経営者団体の勉強会に招かれたときに相談を受けたことがあります。その勉強会に参加されている方たちは、企業のやり手経営者の方たちばかりで、まさに成功者といった感じでした。そのとき、一人の参加者の方から、「高い目標を設定して、そこを目指して必死にやるほうが、やる気も出るし、楽しいと思うのですが。菊池先生はどう思われますか?」と聞かれました。

それに対しての私の回答は「難易度が高すぎる鬼畜ゲーは上級者専用ですよ」でした。その方は、この一言ですべてを悟ってくださったようでした。

「人生」というゲームが、まだ始まったばかりの初心者である子どもに与える目標は、どんな難易度のものが良いでしょうか?あなたもよく考えてみてください。

以上、成功体験が多い「勝ち組な親」が陥りがちな落とし穴についてでした。結局のところ「自分だったら、これでやる気が出る」を、子どもに押しつけてはいけないということです。

『小学生の勉強は習慣が9割』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

先輩のパパ・ママがしたことを聞きかじって、そのままわが子に当てはめるのはNGだとはわかっている親御さんはたくさんいます。でも「自分が実体験として成功したことであれば、わが子ならうまくいくはずだ」と思ってしまいがちです。親子で性格や能力が極めて近い場合には、確かにそれでうまくいくこともあるでしょう。

しかし、親子といえども別の人間ですから、違う性格・能力であることのほうが普通です。そもそも兄弟を同じように育てたつもりでも、「子どもたちの性格も能力もバラバラ」ということは多いのです。子どもが親と同じ性格・能力になるというのなら、子どもたちがバラバラというのはおかしな話ですよね。

親子は似ているところはあるけれど、「決して同じではない」と自覚することが大切です。そして、親子は同じではないのですから、うまくいくやり方・やる気が出るアプローチが同じではないかもしれないと考えましょう。

お子さんの目線に立って、お子さんの視点でやる気になる目標設定を考えてあげてください。そうすれば、お子さんの能力を引き出し、成績アップや受験の合格に導いてあげられますよ。

菊池 洋匡 中学受験「伸学会」代表、算数オリンピック銀メダリスト

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きくち ひろただ / Hirotada Kikuchi

開成中学校・高等学校、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。10年間の塾講師歴を経て、2014年に中学受験専門塾「伸学会」を自由が丘に開校し、現在は目黒・中野を合わせて3教室に加え、オンライン指導も展開。最新の教育心理学の裏付けがある授業は、特に理系の父母からの支持が厚い。指導理念と指導法はメルマガ(登録者約8000人)とYouTube(登録者約46000人)でも配信。生徒の9割以上は口コミによる友人紹介と、メルマガやYouTubeを見ているファンの中から集まっている。著書に『小学生の勉強は習慣が9割』(SBクリエイティブ)などがある。

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