「態度が悪い部下」に困る人に教えたい究極の技 日本人が知らない「モチベーションアップ」法
私の同僚である副指揮官は、どうしたらよいものかと考えあぐねていた。彼のほかに小隊の指揮官もチーフもこの数か月間、件の隊員の態度を改めさせようと努力してきたが、なにも成果はなかった。口頭で注意をしても、効果はゼロだった。
自分の態度について「考えさせる」ために週末勤務を命じたりもしたが、事態は改善しなかった。文書による指導も行ったが、どうやら事態はさらに悪化しただけだった。同僚は困り果てていた。そこで私はある提案をした。彼は仰天した。
「彼を責任職につけてみたらどうだ?」と私は言ったのだ。
「なんだって?」彼は答えた。
「責任ある立場につけてみるんだよ」私はゆっくり明確に繰り返した。
「責任職に? あいつを?」副指揮官はもう一度言った。私の提案に度肝を抜かれているのがありありとわかった。
「そうさ。責任ある立場において、そいつの肩に何か責任を負わせてやるんだ。頭が良くてカリスマ性もあるやつだと言っていたじゃないか。きっとそいつは才能を持て余しているんだ。挑戦してみろと言われることが何もなくて、退屈しているのさ。おそらくそのせいで、ろくでもない態度をとっているんだ。そのままにするのは良くない。何かの責任職につけてみろよ。そうしたらきっとそいつにも、やる気が芽生えるさ」
責任ある立場につけてみる
同僚は半信半疑だったが、本人としてももう万策尽きていたので「わかった、やってみるよ」と言った。
あとは彼の考えに任せ、われわれはそれぞれの小隊の仕事に戻った。私は自分の小隊とともに、数週間かけて訓練のための遠征をした。遠征から戻ってきたとき、同僚は私に会うためにわざわざ小隊小屋までやってきた。私はお役所仕事を片づけているところだった。
「やあ、調子はどうだい?」私は、例の問題児についての会話をころりと忘れてそう言った。
「良くないね」
私は一瞬、相手が何の話をしているのかわからなかった。彼はさらに続けた。「むしろ、悪くなったよ。あいつは」
私はようやく例の会話のことを思い出し、驚いた。「ウソだろ?」
「ウソなもんか。おれはやつを責任ある仕事につけた。そうしたら、前よりもっと態度が悪くなったんだ」
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