ドキュメント「朝日新聞のいちばん長い日」 写真と質疑応答で振り返る、謝罪会見の全容

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会見では、朝日新聞が独自入手した吉田調書を基に報じた5月20日付の1面記事「所長命令に違反 原発撤退」と同2面「葬られた命令違反」をほぼ全面で取り消したうえで、報道部門を束ねる杉浦信之取締役を編集担当から解任。担当記者やデスクなど関係者も処罰する。さらに木村伊量社長が「社内の抜本改革後に進退を決断する」と辞任を示唆、今後は社長報酬を全額返納すると発表した。

池上彰氏の連載コラム「池上彰の新聞ななめ読み」の慰安婦問題に関する回の掲載を一度は中止する判断をしたのが、杉浦氏であることも明らかになった。

主な質疑応答は以下の通り。

なぜここまで発表が遅れたのか

会場には100人以上の報道陣が詰めかけた

――「進退を決断する」とは辞任の表明か。

木村社長 今の段階で具体的に申し上げるのは避けたい。

――記事そのものを否定するのか。

杉浦取締役 「命令違反で撤退」を取り消す。これはこの記事の骨格に関わる記述であり、見出しにもなっている。これを間違いとするのだから、記事そのものを訂正する、と考えている。

――8月末の段階で朝日新聞は読売新聞に対し「命令違反だった」と回答している。それから短期間でなぜ変化したのか。

杉浦 記事掲載からしばらくして、「この記事は東京電力職員をおとしめるのでは」との批判があった。そうした意図はないし、吉田調書を入手しているのはわれわれだけだと認識していたので、その時点では「批判は当たらない」と考えていた。

8月下旬以降、他社も同様の資料を入手して、朝日新聞とは違う報道が出てきたので社内で調査したところ、「(第一原発内の放射)線量の低いところに残るように」と命令したが、その命令が多くの方に伝わっていたのか確認できないまま原稿が書かれていたことが、8月末から9月にかけての取材班以外の調査ではっきりした(従業員の大半は第二原発へ一時退避している)。これだけ時間がかかったことは誠に遅いと考えている。

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