Apple Pay登場で買い物はどう変わる? ユーザー体験を軸に作ったサービスの実力は
今回、Apple Payのパートナーにスターバックスが入っていなかったことは意外だった。スターバックスは、独自のアプリでプリペイドカードの「Starbucks Card」のサービスを提供しており、アップルのPassbookにも対応している。これはバーコードを読み取らせて決済をする方式だ。今後、米国のスターバックスも対応を進めていくことになるのではないだろうか。
iOS 6が登場した際、iPhoneにはNFC非搭載で、Passbookがバーコードのみにしか対応していなかったことに批判が集まっていた。しかし実際米国で暮らしていると、NFCが使える店舗なんて見つけることができなかった。ウォルグリーンの競合となるドラッグストア、CVSでは、レシートにバーコードのクーポンを印字し、しばしば2m近くのレシートを手渡されることもある。それほど米国のチェーンのレジ周りはバーコード天国だった。
そんな環境でNFCを搭載しても、ユーザー体験を変えるようなサービスを提供できなかった、とふりかえることができる。NFCリーダーが普及ベースに乗り始めるのを待ってのApple Pay投入は、いいタイミングだと評価できる。
プリペイドサービスとは一線を画す
日本を含む様々な地域で普及している、プリペイド型の非接触ICを使った決済サービスとも違った魅力がある。筆者もスターバックスでよく経験するのだが、コーヒーを買う行列に並んでいるときにプリペイドの残金が少ないことに気づいても、自分の番が来るまでにアプリ内でチャージを終えることができず、面倒なので結局クレジットカードで払ってしまっていた。
日本のPASMOとの一体型クレジットカードではオートチャージが可能だが、そのためにクレジットカードを1枚作ったり、ブランドを選んだりという手間がかかる。その点を考えると、現在手持ちのクレジットカードで利用できるApple Payの方が手軽に使い始められる。
決済のユーザー体験的解決は、アメリカで、おそらく緩やかにだが、iPhoneだけで買い物ができる世界を作っていくだろう。ただし「アメリカで」という限定付きだ。NFCリーダーの普及や決済事業者、カード発行会社との連携も大きな問題となる。
個人的には、東南アジアや東欧など、ビジネスや観光が伸びている地域で対応を進めると、特に安全に利用できる面で支持されるのではないかと期待している。
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