童話が「いろんな角度で考える力」を育む理由 視点を変えると、もう1つの物語が見えてくる
きっかけは加藤浩次さんの言葉だった
放送作家になって20年以上経ちますが、最近、番組づくりで意識しているのは、物事を一方向から見て「こうだ!」と決めつけないことです。
そのきかっけは、昔からお付き合いのある極楽とんぼの加藤浩次さんの言葉でした。
あるとき、ぼくは加藤さんに、「朝の情報番組でむずかしいことはなんですか?」と聞いたのです。
すると加藤さんは、なにかニュースを伝えるときに、いろんな人の立場になって話すことがむずかしいと答え、そして、すべてのケースに当てはまるわけではないけれど、「正義の反対は、相手の正義」なのだと言いました。
しびれました。まさに、今の時代に必要な考え方です。
この言葉をどうにかしてみんなに伝えたい、そう考えたとき、ぼくの頭に真っ先に浮かんだのが、童話を教科書にすることでした。
『3匹の子ブタ』『さるかに合戦』『鶴の恩返し』『泣いた赤鬼』……。
童話には、つねに正しい教訓がありますよね?
わかりやすい悪者が出てきて、最後には必ずやっつけられて、めでたしめでたし。
でも、本当に“めでたしめでたし”でいいのでしょうか?
人にはそれぞれ立場や考え方によってちがう正義があり、誰もが自分を正義だと信じています。
大切なのは、自分ではない誰かの立場で考えること。
その「物事をいろんな角度から考える力」が、想像力をのばし、違う考え方を理解できるようになり、思いやりの心を育みます。
それって、これからの世の中を生きるのに、いちばん大切な力なのでは? とぼくは思いました。
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