童話が「いろんな角度で考える力」を育む理由 視点を変えると、もう1つの物語が見えてくる
『ウサギとカメ』のウサギは、ゴール前で油断して寝てしまったばかりに、コツコツ歩き続けたカメに追い抜かれてしまいました。
では、もしウサギが寝なかったら?
カメが勝ったのは奇跡。ウサギが寝るというラッキーが起こり、ぐうぜん勝っただけです。
もともと身体能力に圧倒的な差があるウサギに対して、カメは本当に無謀な勝負を挑んでしまいました。
問題は、ウサギに「のろまなカメ」とバカにされたとき、カメが挑発に乗って勝負を挑んでしまったことです。
そんなときは冷静になり、「足は遅いけど、泳ぐのは得意さ」と返したり、あるいは「人をバカにするヤツのことなんか真に受けなくていい」と受け流したりしてもいいでしょう。
自分ができないことをバカにされるなんて経験は、人生で誰にでも起きること。
『ウサギとカメ』の話からは、そのたびにカッとなっていたら、取り返しのつかない大惨事に巻き込まれてしまうという教訓を得ることができないでしょうか。
大切なのは、自分だけの読み解きを見つけること
こんなふうに、誰もが知っている童話を別の角度から見てみると、まったくちがうストーリーが見えてきます。
そこで覚えた驚きや気づきが、「物事をいろんな角度から考える力」を育てます。
そして、何より大切なのは、自分の頭で考えて、自分だけの答えを見つけられるようになることです。
『10歳からの 考える力が育つ20の物語』を読んでくれた子どもたちが、こんなコメントをくれました。
「もう1つの正義とは、もう1つの考え方ということ。読者は主人公の目線で本を読むのでその反対側は悪いと思うけれど、本当はその悪に見えるキャラクターにも理由があって、すべて悪いわけではないと学んだ」(13歳・女子)
「ブルースの読み解きがすごかった。思ってもみないことだった。正義がたくさんあるなぁと思った」(9歳・女子)
「考え方1つで人を深く傷つけてしまうこともある。この本を読んだ子どもたちが、人の感じ方や考え方が違うことを理解し、1人ひとりが個性を大切にして自分らしく生きてほしい」(15歳・その他)
物事をいろんな角度から見る力。
この力は、とくに今の時代は、大人にこそ必要なものだとぼくは思います。
年末年始の休みは、ぜひ、親子でよく知る童話を読み直してみてはいかがでしょうか。
「こんなふうにも考えられない?」と、お互いの「ちょっとちがう読み解き」を披露し合えば、新年に向けて、頭と心をリセットするいい機会になるはずです!
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら