「ゆるキャラで地域活性化」が時代遅れになった訳 まちづくりが軌道に乗っているならまだしも…

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「インスタ映え」という言葉もあるように、インスタグラムのような画像共有サービスは、バズることによってサポートメンバー獲得から顧客創造まで、幅広い効果が期待できます。場合によっては、そこからマスメディアの取材に発展することもあります。

インスタでやりがちなミスとは?

ただし、普段からインスタグラムを利用している人ほど、よくバズっている写真と似たようなものを撮影・共有してしまい、結果的にたいして見られていないということもあります。そのため、ゆるキャラの活用と同じなのですが、他人と違うことをしなければなりません。

もともとインスタグラムに上げられている写真の大半は、自分が楽しむためにアップされています。より正確には、自分が楽しんだことを写真で共有するためのものです。そこには、仲間の獲得や集中・拡大は意図されていません。

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多くの人が利用する画像共有サービスでは、みんながアップしていないような写真にこそ価値があります。価値があるということは、人の心を動かすということであり、当然、バズる可能性も高くなります。

まちづくりにおいても同様で、人を集めたり仲間を獲得したりするためにSNSを活用するのであれば、独自の主張や画像を通じて発信し、他にはない価値をより多くの人に受けとってもらうことが大切であり、「刺さる」かどうかがポイントです。

その点、ゆるキャラの活用や特産品などもそうですが、どこにでもあるものや他人の真似をしたようなものでは、効果が期待できません。そこにしかない意外性のあるものを見つけ、活用してこそ、まちづくりは前進していきます。

このように、まちづくりは、まずハコモノやゆるキャラありきでスタートするよりも、行政に頼らずともまちの工務店などとタッグを組み、SNSを駆使して小さくはじめて大きく育てることが今の時代にマッチしたやり方だと言えるでしょう。

小林 大輔 株式会社SUMUS(スムーズ)代表取締役社長

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こばやし だいすけ / Daisuke Kobayashi

法政大学経営学部経営学科卒。経営コンサルティング会社を経て独立。
2015年、株式会社SUMUSを創業。住宅メーカー、リノベーション会社を中心に経営コンサルティングを行い、500社以上のクライアントをサポート。

地域そのものをリノベする「まち上場」を実現させるコンサルティング案件が多く、サービス継続率は96%と高い実績がある。しかも扱う地域は、大都市圏どころか県庁所在地でもなく、カネ、人、知名度が決して潤沢とはいえない地域ばかり。

現在は2社の代表と複数の会社の社外取締役を務め、地域の担い手たちとともに、暮らす人、働く人、訪れる人に愛されるまちを全国の田舎でも積極的につくっている。

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