「ゆるキャラで地域活性化」が時代遅れになった訳 まちづくりが軌道に乗っているならまだしも…
具体的な例で見ていきましょう。
鳥取県境港市は、『ゲゲゲの鬼太郎』の生みの親として知られる水木しげる先生の出身地です。そこにある「水木しげるロード」には、鬼太郎のブロンズ像をはじめ、お店の売り物や神社、マンホールのふたまで、至るところに妖怪たちが姿を現しています。
一見すると、水木先生のファンはもちろん、鬼太郎たちに会えるので子ども連れにも人気のスポットであり、成功しているかのように思われます。しかし、まちづくりの観点からすると、非常にもったいないといわざるを得ません。
なぜなら、水木しげるロードから外に一歩でも出てしまうと、妖怪のまちとしてのコンセプトが引き継がれておらず、せっかく訪れた観光客が楽しめないためです。つまり観光客らは、水木しげるロードの中だけで観光し、遊んだり食べたりして帰ってしまうのです。
このように、「妖怪神社」や「妖怪倉庫」「水木しげる記念館」などのハコモノを用意しても、それらだけで動線が完結してしまう状態は非常にもったいないと思います。本来であれば、内外の施設がコンセプトでつながるかたちが理想的であるといえます。
まちづくりを成功させるために必要な考え方として、まず、都市計画からはじめるのを疑うことが大切です。たしかに、マスタープランからまちづくりを進めていくことは王道なのですが、そこに固執してしまうと正しい戦略を実行できません。
特に、ヒト・モノ・カネもだいぶ限られた地域を活性化させたいのであれば、いきなり都市計画を用意しても、うまくいくとは限りません。
「補助金頼り」の弊害
また、まちづくりの問題としてよく取り上げられる「補助金」の問題もあります。補助金に頼ることの弊害はまちづくりの本でもよく書かれているのですが、事業性としての意識を失わせてしまいます。その結果、継続性が乏しくなってしまうのです。
たとえば「まちビジネス事業家」の木下斉さんは、著書『地方創生大全』(東洋経済新報社)において、補助金を「衰退の無限ループを生む諸悪の根源」と表現しています。辛辣な指摘ではあるものの、そこには一定の真実も含まれているように思われます。具体的に、次のような記述があります。
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