「説明がヘタな人」が知らない話の組み立てのコツ 「結論から話す」でスベっていませんか?

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また、予備校講師の最も重要な仕事の1つに、生徒が自力で入試の問題を解けるようになるための「スキル習得」を促す説明があります。問題の解き方を説明したうえで、そのスキルを習得させるためには、結論である使う公式や解答を先に示しても、実はうまくいかないことが多いのです。

「なぜ、その公式を使う必要があるのか?」、あえて結論ではない理由などから先に出すことで、解答にたどり着くプロセスを丁寧に追いながら、着想する経験を相手にさせることができます。

「結論ファースト」で結論を聞いてしまうと、そこまでに行きつく途中のプロセスを自分の頭で考えようとしなくなる危険があるのです。自分の頭で考え、それを身につけるためには、「結論ファースト」の説明は注意が必要です。「スキル習得」を促す目的での説明は、そのスキルを相手が再現できるようにならなければ意味がないからです。

そして、これまでにお話しした、説明の目的やシチュエーションに合わせた「組み立て方」は、実は、独立・起業後にも非常に役立ったのです。

「結論ファースト」で苦汁を飲まされたことも

独立後にすると、最も苦労したのは、商談における「交渉」でした。収入が不安定な独立直後の私は、非常に弱い立場であったこともあり、交渉では何度も苦汁を飲まされました。自分が相手に提示した条件よりもよくなることはほぼ皆無でした。むしろ、足元を見られて、値切られることがほとんどでした。

こういった経験から学んだことは、交渉では、基本、「結論ファースト」はNGです。つまり、自分の望む条件を結論として先に提示してはいけないのです。交渉を有利に進めるために、望む条件(結論)はあえて先に出さず、相手には知らせないことが重要です。これは、交渉学の最高学府であるハーバード・ロー・スクールの教授であるロジャー・フィッシャー氏も同様のことを述べています。

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