「説明がヘタな人」が知らない話の組み立てのコツ 「結論から話す」でスベっていませんか?

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例えば、冒頭の「それ、何についての話?」と聞き返されてしまうのは、相手と前提の情報共有ができていない可能性があります。結論ファーストは、「そもそも、何に関する話なのか?」のような、いわゆる「文脈」が理解されにくいのです。「文脈」とは、端的にいうと「説明している情報以外の知識」です。相手に知識が不足していたら、なおさらです。

また、当たり前ではあるのですが、話し手の自分と相手とでは持っている知識がまったく同じということはありえません。そのため、説明で用いている用語を相手が知らない可能性もあります。

だからこそ、説明の組み立て方は、つねに「結論ファースト」で伝わるとは限らないのです。

実は、「結論ファースト」がうまくいかないケースはまだまだあります。

説明は、「目的」を達成できなければ意味がない

私自身は、大学受験の予備校講師として10年間登壇していました。そこでは、生徒に話の内容に興味を持ってもらえるような説明の仕方が必要不可欠でした。たとえば、あなたならどちらの話を聞いてみたいでしょうか?

A「糖類には、ゲンチオビースのような苦味のある物質もあります」
B「甘味がなくて、むしろ苦い味のする糖があるのって知ってた? ゲンチオビースって物質なんだ」

講師として登壇して間もない頃の私は、Aのような伝え方をしていました。「結論から簡潔に話すのが鉄則」という刷り込みがあったためです。

ただ、実際にAの伝え方で聞いている生徒側は、良くて「へぇ〜」くらいになる程度です。Aのような伝え方だと、聞く耳を持ってくれにくいのです。

これでは本末転倒だと思い、説明の組み立て方を変えて、あえて、「結論ファースト」ではないBのような伝え方をするようにしました。

少し遠回りをするフレーズを挟んだ程度ですが、たったこれだけので、生徒は「何、それ!?」と前のめりに話を聞くようになったのです。組み立て方をわずかに変えるだけで、相手の好奇心を刺激する説明にすることができるようになったのです。

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