劇団「わらび座」が一般社団法人で再建目指す背景 11月に民事再生手続き、アパマン社長が再生支援
コロナ禍で地方の有名劇団が破綻――。
秋田の地方劇団「わらび座」(秋田県仙北市)が、長引くコロナ禍のあおりを受け、約14億4600万円の負債を抱え2021年11月、民事再生法の適用申請を行った。
全国でも屈指の観客動員数誇る
わらび座は秋田を中心にした、郷土の偉人や伝統芸能を題材にしたオリジナルミュージカルの制作で知られる。修学旅行などの観劇需要が柱で、動員規模は、劇団四季や宝塚歌劇団に次ぐ規模といわれている。
秋田出身の歌手、東海林太郎や探検家の白瀬矗、秋田の伝統文化である竿燈まつりやナマハゲなどを題材にした作品などを制作。本拠地の「あきた芸術村」(秋田県仙北市)の2つの専用劇場を活用した、修学旅行と農業体験などを組み合わせた「教育旅行」を柱とし、さらに併設する温泉ホテルや、「田沢湖ビール」などの地ビール販売、レストランといった事業が経営を支えていた。一時期は県内で温泉ホテルや山荘も経営。秋田市内でも学校観劇を対象に長期公演し、地方巡演や海外公演も定期的に実施していた。コロナ禍前は年間で約1000回の公演を行ってきた。
だが2020年以降はコロナ禍により相次いで公演が中止となり、観光客も激減するなどすべての事業が大きな打撃を受けた。特異なビジネスモデルが、すべて裏目に出た格好だ。
「長期化するコロナは私たちの首を絞めたと思う」「収入源の圧倒的なところがほとんどダウンし、それが2年も続いたら手の施しようがない」――。わらび座の山川龍巳社長(当時)は、秋田地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、手続きの開始決定を受けた11月2日、秋田県庁で開かれた会見で、こう漏らした。
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