「イカゲーム」旋風をもたらしたビジネスモデル サブスク王者・ネットフリックス急成長の20年

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なぜ、ネットフリックスは、イカゲームのような「ネットフリックス独占配信」に力を入れているのでしょうか?

それこそが、同社がどのようにマネタイズしているのかをひもとくと見えてくるのです。価値創造でイノベーションを起こしたイメージが強いかもしれませんが、実は価値獲得の特性を見極めたからこそ、価値創造に大変革を起こしました。

DVDレンタルから始まったネットフリックス

1997年に創業したネットフリックスは、その2年後、世界で初めてウェブサイトによるポスト投函できるDVDのレンタルサービスを立ち上げます。

川上昌直(かわかみ・まさなお)/兵庫県立大学国際商経学部教授。1974年大阪府生まれ。福島大学経済学部准教授などを経て、現職。博士(経営学)。「現場で使えるビジネスモデル」を体系づけ、実際の企業で「臨床」までを行う実践派の経営学者。ビジネスの全体像を俯瞰する「ナインセルメソッド」は、規模や業種を問わずさまざまな企業で新規事業立案に用いられ、自身もアドバイザーとして関与している。専門はビジネスモデル、マネタイズ(撮影:尾形文繁)

当時は、ビデオ・DVDのレンタルチェーン店としては、アメリカ全土に展開していたブロックバスターが知られていました。1本当たりのレンタル料で「時間貸し」をして、かつ、延滞した場合は多額の延滞料を取るマネタイズは、長年、業界の常識とされていました。

ネットフリックスは、ここにメスを入れ、利益イノベーションとも呼べるほどの大改革を行ったのです。それが、定額料金を継続的に徴収する定額制サブスクリプションの導入でした。定額料金さえ支払えば、送料、手数料、延滞料がいっさいかからないところも画期的でした。

月に約15ドル払えば、決められた数のDVDを好きなだけ借り換えられる。この価値獲得は多くのユーザーに受け入れられ、ポスト投函できるDVDレンタルが流行しました。

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