日本人は「投資に疎いこと」の損失をわかってない お金や投資についてあまりにも教えなさすぎる

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実際に、日本では本当の意味での資産運用のスキルを持っている人は少数派としか思えない。銀行や証券会社の従業員でさえ、本当の意味での資産運用の知識やスキルがあるように見えないことが多い。会社から渡されたマニュアルでしか語れない、そんな金融マンがいるのも事実だ。

とりわけ目を引くのが「株式等」への投資が、日本の場合はわずか10%にしかならないということだ。さらに、投資信託などもアメリカやヨーロッパに比べると半分以下でしかない。これでは、日本の株式市場は個人投資家が大勢を占めることなく、結局のところ外国人投資家が中心的な存在になってしまい、外国人投資家や機関投資家の動向に左右されてしまう。日本企業の株価がいつまでたっても上昇せずに時価総額が少ない原因のひとつとも言える。日本人の個人資産が、日本企業成長の原動力になっていないのだ。

「リスクを取らない日本人」という言い方をよくされるが、実は「リスクを取る方法を知らない」といったほうがいいのかもしれない。「お金がお金を生むノウハウ」を教わっていないから、日本国民の多くは自分で稼いだお金だけが自分の稼ぎだと思っている部分がある。

文部科学省と金融庁の対応は?

さて、そんな状況の中で、文部科学省は「学習指導要綱」を改訂し、2022年度から高校の家庭科の授業に金融教育を組み込むことになった。いまさら感もあるが、むしろなぜ小学生や中学生の段階からスタートさせないのか、という疑問がある。

日本政府はずいぶん前から「貯蓄から投資へ」をスローガンに掲げてきたし、「つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)」や「個人型確定拠出年金(iDeCo)」といった税優遇制度を使って、少しでも投資の機会を増やそうとしている。金融庁職員が出張講義という形で小中高、大学を含めた81校(9月末現在)に職員を派遣し、約1万2000人に投資教育を実施した、という報道もある。

やや古いデータだが、2009年に金融広報中央委員会が実施した一般個人へのアンケートによると、学校教育で金融教育を受けたと認識している比率は約4%しかいないそうだ。60%近い人がもっと積極的に学校での金融教育に取り組むべきだと答えている。

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