日本人は「投資に疎いこと」の損失をわかってない お金や投資についてあまりにも教えなさすぎる

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銀行や証券会社が進める社会人向けの「投資信託セミナー」でも、その場その場で自社の販売する投資信託を買わせようという意図が見え隠れし、その投資信託のリスクをどの程度把握すればいいのか……、そういった投資教育が少ないような気がしてならない。たとえば、投資信託には「標準偏差」や「トータルリターン」といった数字が必ず提示されるが、そういった客観的な数値を把握することが、リスク回避につながることを教えていく必要がある。

確定拠出年金=401Kを始めるにあたって受ける投資教育も、表面的にはアメリカの金融リテラシーの教科書をそのまま踏襲しているものが多いように見えるが、日本独特の証券業界や金融マーケットの事情を把握しながら、日本独自の投資教育が不可欠と言える。

投資教育は日本人に欠けているマインドを育てる?

なぜこれまで日本に投資教育が欠けていたのかはともかくとして、投資教育の実施によってさまざまなメリットがあることは最近明らかになってきた。日本人に欠けていると言われている「さまざまなマインド」が醸成されるメリットがあるという指摘もある。たとえば、第1に「リスクを取ることの大切さ」、第2に「個性を大切にする考え方」、そして第3に「考える力を養う」、そんなメリットがあると考えていい。

周知のように、日本の教育制度は管理者側=教師の管理がしやすいような「画一的な教育」で知られている。かつて宮沢喜一元首相が、著書の中で日本の画一的な教育に対して懸念していたことは有名な話だが、ほかの人間と違うことをすることの恐怖心や出る杭は打たれる、といった全体主義の雰囲気のなかで、自分自身で考える力を失った、とも言われてきた。

その点、投資教育で学ぶことは、ほかの人間と同じことをしていては負けてしまうこと、リスクを取らないことのリスクの認識、そして何よりも大切な「自分で考える」ことを強いられる。リスクを取らずに銀行にお金を預けておけば安心、といった付和雷同型の投資では生き残れない時代がやがてやってくる可能性が高い。

日本は、幼児からの投資教育を怠ったために、今の社会は管理する側からすればとても管理しやすい社会になってしまっている。投資教育は、単なるお金の教育ではなく、国民の自主性と考える力を育てる教育と言ってもいいだろう。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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