日本人は「投資に疎いこと」の損失をわかってない お金や投資についてあまりにも教えなさすぎる
こうした背景には、1974年に成立した「エリサ法(従業員退職所得保障法)」によって、企業年金のあり方が見直されて、従業員1人ひとりが年金の運用を自己責任で行う「確定拠出型年金(401K)」が制度化され、その運営者に対して投資教育などの責任を課したことが挙げられる。「社会人からの教育では遅い」と判断されたわけだ。
アメリカ同様に、日本でも「日本版401K=確定拠出年金制度」が2001年に始まってすでに20年を経過している。従業員1000人以上の企業の4割が確定拠出年金を採用していることを考えれば、日本でも幼児のころからの投資教育を行わなければならなかったと言っていい。
リスクを取らない日本人が増えた結果は?
こうした背景には、日本では今でもお金に関する話題はタブー視される傾向が強いという国民性がある。実際に、日本の学校教育を受けた人の中で、資産運用や金融リテラシーの教育を受けた記憶は皆無のはずだ。複利計算の方法ぐらいはやったことがあっても、株式投資や資産を分散して運用するノウハウなど、大学の経済学部の学生ですら、きちんとしたカリキュラムで学んだ人は少ないだろう。
その結果、どうなっているのか。その影響は一目瞭然だ。日本の「個人金融資産」は2021年9月末現在で、1999兆円(速報値)に達しており、2000兆円に達するのは時間の問題と言われている。しかし、その中身はというと6割近くを「現金・預金」が占めており、「リスクを取らない日本人」として海外でも知られている。
たとえば、「家計の金融資産構成」を国際比較した場合、次のような結果になる(日本銀行調査統計局、2021年8月20日「資金循環の日米欧比較」より)。構成比率で代表的なものをそれぞれ4つずつ紹介しよう。
・現金・預金…… 54.3%
・保険・年金・定型保証…… 27.4%
・株式等…… 10.0%
・投資信託……4.3%
・現金・預金…… 13.3%
・保険・年金・定型保証……29.0%
・株式等…… 37.8%
・投資信託……13.2%
・現金・預金…… 34.3%
・保険・年金・定型保証…… 33.8%
・株式等…… 18.2%
・投資信託……9.6%
10年前、20年前に比較すれば分散投資がやや進んだとはいえ、日本の個人資産の多くは現金や預金で保有されていることがわかる。それに対してアメリカは1割ちょっと、ユーロエリアでも3割程度というところだ。日本人がいまだに銀行の預金に対して高い信頼性を置いていることがわかるが、言い換えれば日本人の投資スキルのなさを実感させられる。
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