日本人は「投資に疎いこと」の損失をわかってない お金や投資についてあまりにも教えなさすぎる

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それだけのニーズがありながら文部科学省は放置してきたわけだが、経済協力開発機構(OECD)も、人々の金融リテラシーの向上推進を唱えており、2018年には3年ごとに実施されている15歳の「学習到達度テスト」、いわゆる「PISAプログラム」の一環として「15歳の金融リテラシーに関する調査」を実施している。国際的には15歳にして金融リテラシーを身に付けておくのは常識とも言える。

ちなみに、アメリカでは18歳の6割以上が運転免許証を取得しており、自動車保険が生活に密接したものとなっている。その意味もあって、保険や投資などお金に関する教育が進んでいるとも言われている。

アメリカでは、実際に小学校に上がる前から高校を卒業するまでの12年間を「K-12」と定義して、アメリカの代表的な非営利団体「ジャンプスタート個人金融連盟」が、民間ながら積極的な金融セキュリティー向上の運動を展開している。同連盟が学校関係者向けに「K-12個人金融教育基準」を作成して、高校卒業までに生徒が学んでおくべき金融教育の学習基準モデルを発表している。その内容を簡単に紹介しておこう(「米国の学校における金融教育の動向」損保総研レポート 2012年10月より)。

①金融に関する責任と判断
②収入と職業
③お金の管理と計画
④信用と負債
⑤リスク管理と保険
⑥貯蓄と投資

アメリカほどではないにしても、ほかの先進国でも、金融教育は早めにスタートしているのが最近の傾向だ。イギリスでは、サッチャー首相の時代に市民になるための基礎的な人間力育成の一環として「経済・金融の知識」が重要ととらえられ、中学校時代に徹底的に学ぶことが決められている。

投資教育する側にも大きな問題?

ただ、日本では必修科目にはなっておらず、また教える側のスキルの低さも問題になっている。たとえば、家庭科の教科書には載ってはいても、実際にそれを授業で取り上げるかどうかは不透明と言える。教師自身が、金融リテラシーをまったく持っていないケースも少なくない。

金融庁のホームページでは「中学生・高校生の皆さんへ」と題した金融リテラシーの基礎がわかる「基礎から学べる金融ガイド」というPDFを公開しているが、同時に「派遣講師のご案内」や「教員向け動画」などを公開して、金融教育をする側、父兄に対しても金融教育の重要性をアピールし、教育内容の補完情報を提供している。

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