ビートルズ「8時間映像」にファンが熱狂する理由 長尺配信による「蔵出し音楽映像市場」の可能性

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ディズニープラスで全3話見放題で独占配信の『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』©2021 Apple Corps Ltd. All Rights Reserved.

「8耐」と言えば「鈴鹿8時間耐久ロードレース」のことを指すが、今、別の「8耐」が盛り上がっていることをご存じだろうか。それも、オートバイ・ファンではなく、ビートルズ・ファンの間で。

11月25日からDisney+(ディズニープラス)で配信が始まったドキュメンタリー映像『ザ・ビートルズ:ゲット・バック』のことだ。第1話が157分、第2話:174分、第3話:139分、トータルで何と7時間50分(470分)、おおよそ8時間!

驚くべきは、私の周りのビートルズ・ファンたちが、ディズニープラスを月額990円で契約しながら、「8耐」を次々と「完走」していることである。

それほどに、この映像作品の内容が興味深かったということなのだが、加えて、映画やパッケージ(DVDやブルーレイ)ではなく、ディズニープラスという定額型の動画配信サービスで「公開」されたことも、盛り上がりの背景にあると思われるのだ。

従来のジョンのイメージを変える映像

まずは『ゲット・バック』の内容について見ていきたい。

1969年1月に、ビートルズの4人がスタジオにこもって行われた、いわゆる「ゲット・バック・セッション」と、同年1月30日、ロンドンのビルの屋上で行われた、有名な「ルーフトップ・コンサート」の模様を収めたドキュメンタリー作品。

音楽ファンなら、ビートルズの映画『レット・イット・ビー』(1970年)を見られた方も多いだろう。簡単(かつ乱暴)に言えば、『ゲット・バック』は「あの映画の長い版」である。

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それでも8時間もあるので、『レット・イット・ビー』で、かなり端折られていた、メンバー同士の生々しい会話が十分に詰め込まれている。

驚くのは、『レット・イット・ビー』でギスギスしていたメンバーが、あんがい和気あいあいとやっていることだ。特にジョン・レノンが、オノ・ヨーコをずっと横にはべらせながらも、終始ふざけて雰囲気作りをしている姿は、従来のジョンのイメージを変えるのに十分だった。

逆に第1話で、ジョージ・ハリスンが、主にポール・マッカートニーとの軋轢から、突然スタジオを後にして、自宅に引きこもってしまう姿などは、かなり痛々しい。

『レット・イット・ビー』よりも明るいビートルズと暗いビートルズ。丁寧にレストアされた高精細な画像によって、その両面がくっきり・はっきりと伝わってくるところは、マニアにとってたまらないはずだ。

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