ビートルズ誕生60年「歴史の証人」が語る実像

「ジョン・レノンが育った家」管理人の思い

レコードデビュー前のビートルズ。「キャバーン・クラブ」前で撮影。左からジョージ・ハリスン、ピート・ベスト、ポール・マッカートニー、ジョン・レノン(写真:Keystone/アフロ)
サッカーファンに知名度の高い英国・リバプールは、あの「ザ・ビートルズ」を生んだ街でもある。ジョン・レノンが住んでいた家「メンディップス」もナショナル・トラストによってきちんと保存され、多くのファンや音楽愛好家がその地を訪れてきた。ビートルズ誕生(バンド改名)から60年。今年8月にはドキュメンタリー映画『The Beatles : Get Back』も世界同時公開される。
それに歩を合わせるかのように、メンディップスの管理人、コリン・ホール(71)はアーカイブの作業を急いでいる。音楽ジャーナリストでもあるコリンはこの地で、どんなビートルズを見ていたのだろうか。ほとんど世に知られていないエピソードも交えながら、ジョン・レノンをはじめ、アーティストたちの素顔や思い出を存分に語ってもらった。コロナ禍で行われた心温まるインタビューを3回連続でお届けする。

キャバーン・クラブの雰囲気は素晴らしかった

――コロナ禍でのリバプールはいかがですか。

皆、具体的にどう行動していいかわからない状況だと思います。私は71歳ですから、自分の身の安全を第一に状況を見守っているところです。正直、収束までにはものすごく時間がかかるでしょう。メンディップスの公開もできません。

この数カ月はメンディップスとフォースリン・ロード(ポール・マッカートニーが育った家)、両方のアーカイブや目録を作成しています。これは私の後継者のためでもある。私の知識を次世代に伝えるためですから。メンディップスの歴史を口述で伝えるために音声資料も作っているんです。

私のような70代の人間は、いろいろなことを覚えていますからね。戦後のリバプールの状況、自分が育った1950年代、そしてティーンエイジャーだった1960年代。時代の目撃者であり、社会的、文化的な現象も実際に体験している。もちろん、当時はそんな意識すらありません。若者として、普通に出かけ、楽しんでいただけです。

でも、時間が経つにつれて、それが文化遺産として認識されるようになりました。ビートルズが定期的に出演したことで知られるキャバーン・クラブにしても、当時は単に音楽を聴く場所でした。しかも換気は劣悪で、臭いも酷かったんですよ。人がぎゅうぎゅう詰めで、息や汗で壁に結露ができて、それが頭上から落ちてくる。臭いを消すために、消毒剤も撒くんですが、逆効果でね。でも、雰囲気は素晴らしかった。いるだけで楽しかった。「これが歴史に残る」なんて、思いもしませんでしたが。

若者にとって、「歴史」は学校で習うものですよね? キャバーンへ行くのは、遊びであって勉強ではありません。いつもいい音楽を聴けて、ラッキーだったら女の子との出会いがある……。その程度だったんです。

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