ビートルズ誕生60年「歴史の証人」が語る実像 「ジョン・レノンが育った家」管理人の思い

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メンディップスには日本からも多くの方が訪れてくれており、管理人として日本のメディアを通じてご挨拶ができることに、感謝しています。ヨーコ・オノとの結婚を通じて、日本とそこに住む素晴らしい人々は、ジョン・レノンの心の中に特別な存在であり続けました。
ご存じの通り、ヨーコ・オノ・レノンは2002年にメンディップスが売りに出た時に、自身が買い取り、ナショナル・トラストに寄贈しました。とても心ある行為だと思います。ジョンが伯母のミミや伯父のジョージと暮らしていた1950年代当時そのままの内装を再現することができるということから、寄贈先としては当初からナショナル・トラストを考えていたということです。
メンディップスがジョンにとって特別な場所であったことをよく知っていたヨーコは、世界中のファンにジョンの子ども時代を体験することができる場所を提供したいと考えたのです。ジョンは、ヨーコにこう語ったそうです。メンディップスは、「リバプールで育った少年時代に、夢を見る場所だった」と。
メンディップスは2003年に一般公開が始まりました。私は2004年から管理人を務めており、以来、世界中から数多くの方々が訪れています。管理人に就任して今年で18年。メンディップスが訪問者一人ひとりにとってどれだけ重要な場所であるか、そして、ジョンとヨーコの平和へのメッセージがあらゆる世代、人種、信仰の人々の心に響き続けていることを、日々実感しています。
メンディップスは、わずかな時間ではありますが、仲間とともに一つになって平和を思う場所でもあります。この体験の一端を担うことができることを、心から名誉なことだと感じています。
もちろん、メンディップスは、ソングライターやミュージシャンとしてのジョンを称える場所でもあります。ジョンがソロで、そしてヨーコと書いた楽曲、ビートルズ時代にポール・マッカートニーと書いた楽曲のほとんどは、愛を歌うラブソングです。人間を人間たらしめる核と言える部分に直接訴えかけるような。彼らは人の希望と夢を心から理解していました。
彼らの音楽には、素晴らしいメロディー、洞察的な歌詞、そして時代を超える美しさがあります。人々をハッピーにし、笑顔をもたらす力が。
コロナ禍において、世界中の人々が不安で困難な時代に直面しています。世界中の誰もが人間の存在の脆さと対峙しています。だからそんな今こそ、自分たちのため、子どもたちの、孫たちのために、友情と慈愛の手を差し伸べ、私たちの世界をより安全で健康で、平和な場所、より良い場所にすべく努める必要があると感じています。
近い将来、自分たちの家から自由に出て、お互いの家や国を訪れることができる日が訪れることを心から祈っています。その時には、メンディップスが日本の皆さんを歓迎していることを忘れないでください。皆さんとお会いできる日を心待ちにしています。それまでは、くれぐれもお元気で、安全な日々をお過ごしください。
愛と光と平和をこめて
コリン・ホール

(文中敬称略)

取材:越膳こずえ=ロンドン在住。ジャーナリスト、通訳・翻訳家。フロントラインプレス(Frontline Press)所属。

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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