「ふるさと納税で保護猫を救う」斬新なカラクリ 猫の殺処分ゼロを目指す「ネコリパ」の取り組み

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ふるさと納税サイトの「SAVE THE CAT HIDA」の掲載画面。ネコリパと地元企業のコラボによる魅力的な返礼品が並ぶ(画像:ふるさとチョイス公式サイトより)

同プロジェクトは、飛騨市のふるさと納税により資金調達をし、猫のことを含む、地域課題を解決していこうというもの。ふるなびやふるさとチョイスといったふるさと納税サイトから飛騨市の返礼品を選び、税の使用目的として「日本一の猫助け事業を飛騨市から!」を選ぶことにより支援できる。

返礼品として、ネコリパとコラボしたかわいらしいデザインの飛騨の物産など、猫好き心をくすぐるものが並ぶ。

注目されるのは、飛騨市が新たに制定した「飛騨市ふるさと納税活用ソーシャルビジネス支援事業」を活用したプロジェクトである点だ。ふるさと納税をソーシャルビジネスに活用する全国で初めての例となる。

ネコリパは2021年の事業者として申請し、ソーシャルビジネスとしての継続性や、これまでの同社の実績、取り組みが地域課題解決に活用できることが評価され、認定されたそうだ。資金調達の目標金額を5億円に設定し、2022年4月より、5年計画で飛騨市のさまざまな地域課題と猫課題を解決していく。

市もトクをする、猫も助けられる、地域の人も助かる

計画されている事業の例を挙げると、まずは地域猫の状況を把握する「猫勢調査」を行う。地域にいる猫を把握し、多頭飼育崩壊などを防止するためだ。TNTA(捕獲→避妊去勢手術→人に慣らす→譲渡)活動についても、移動型の不妊手術専門病院を活用し第1段階で着手していく。

そのほか、保護猫預りと見守りサービスをドッキングした「高齢者ネコシェアリング」もユニークだ。こちらは、保護猫の預りをしてくれる高齢者の自宅をネコリパが定期的に訪問し、家事・買い物代行も行いつつ、高齢者・猫ともに見守って孤立化を防ぐというもの。

ペット葬儀や火葬、墓地、ペットロスケアセンターの事業も包括されており、ペットを飼っている人なら誰もが小さな痛みとともに頭の片隅に置いている、“最後”もケアする。

また、「空き家活用」「猫による街おこし」「猫デザインの産業振興」など、まさに日本全国の地域地域がみな抱えているであろう課題を、猫を切り口に解決していこう、というプロジェクトになっているのだ。

「行政と手を結び合っての保護猫活動」という意味でも、今回のプロジェクトは画期的である。一般的に行われている、活動団体や活動家が行政に訴え、助成金を得る、条例を変えるなどの成果を引き出すといったやり方に比べて、よりスピーディーに進んでいく可能性がある。

プロジェクトではふるさと納税が飛騨市に入るほか、返礼品やネコリパの保護猫活動の取り組みで飛騨市の事業者も潤う仕組みがつくられている。つまり飛騨市もトクをする、猫も助けられる、地域の人も助かる、という三方良しの取り組みというところが評価され、行政との連携が成立しているわけだ。

「飛騨市のソーシャルビジネスとふるさと納税を組み合わせた制度はほかの自治体からも注目されており、今後取り入れるところも出てくるでしょう。そして今回のネコリパのプロジェクトは同じモデルを全国の各地域に活用できるため、順繰りにほかの自治体に採用していただくことで、全国の殺処分数を減らしていけると考えています」(河瀨氏)

猫を救うことが、人の課題解決になる。つまり、猫は人を助けるのだ。人と猫がwin-winで暮らせる、そんな理想的な社会が、ネコリパにより実現するかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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