携帯3社が乗り出す「スマホメタバース」の正体 未来の「モバイルSNS」主戦場となる可能性も

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そしてFacebookは社名を「メタ」に変更し、Meta Horizonというメタバースサービスの開発に注力している。しかしMeta HorizonはQuest2というVRヘッドセットを必須とするメタバースだ。参加するにはハードルが高い。

実際の視界以上の情報が得られるVRヘッドセットなどのメガネ型のウェアラブル端末は、将来的に広く普及するかもしれない。しかし現時点において、私たちの主な情報源は手元にあるスマートフォンだ。スマートフォンだけで参加できるメタバースで、ゲームを主体としないものはあるのだろうか。

実は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクはそれぞれメタバースに投資している。通信キャリアが注目しているメタバースを知れば、今後のメタバーストレンドをいち早く掴むことができる。もしかしたらそのメタバースがFacebookやTwitterのように、多くのユーザーを集めるメタバースの代表例となるかもしれない。

ドコモが推す「Vket Cloud」とは?

日本におけるメタバースの牽引役の一翼を担ってきたのが、VRコンテンツ開発ベンチャー企業のHIKKYだ。彼らはコミックマーケットのようなユーザーベースの巨大イベントをバーチャル空間内で企画。2020年12月に開催されたバーチャルマーケット5ではのべ100万人のアクセスを記録し、世界最大のバーチャル展示会を運営するまでに成長した。

そのHIKKYと資本業務提携を結んだのがNTTドコモだ。10月29日に65億円を出資して、バーチャル空間内におけるHIKKYの高い技術力をNTTドコモの関連事業と連携することで、ポストスマホ時代となってもよりよいサービスを提供すると発表している。

Vket Cloudを利用している「バーチャルマーケット2021」(筆者撮影)

もともとVRChatというアメリカ発のメタバースを用いてきたHIKKYだが、8月17日にVRコンテンツ開発エンジン「Vket Cloud(ブイケットクラウド)」をリリースした。専用アプリをインストールすることなく、スマートフォンやPCのブラウザーから利用できるのが最大の特徴だ。Google ChromeやFirefox、Safariといったブラウザーが動くデバイスのすべてが対象機種であり、ユーザーを選ばない。テキストチャット、ボイスチャット機能も備えており、コミュニケーションも簡単だ。「今日、スマホでここに集まらない?」と呼びかける際も、URLを伝えるだけでいい。とりあえずメタバースの雰囲気を体験してもらうにも最適なシステムといえる。

現時点においてVket Cloudは、HIKKYが主催するバーチャルマーケットでのみ利用されている様子。バーチャルマーケット2021は12月19日まで開催されているので、興味がある人は手持ちのスマートフォンの画面から訪れてほしい。

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